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RDBとNoSQLの選定ガイド:ユースケース別の適切なデータベースの選び方

2025/02/09に公開

RDBとNoSQLの選定ガイド:ユースケース別の適切なデータベースの選び方

データベース選定はシステム設計において非常に重要な決断の一つです。特に RDB(リレーショナルデータベース)NoSQL のどちらを選ぶべきかは、多くのエンジニアが悩むポイントです。本記事では、それぞれの特性やユースケースを比較し、メリット・デメリットを交えて解説します。

💾 RDB(リレーショナルデータベース)とは?

RDBは、データを テーブル(行と列) で管理し、SQLを用いて操作するデータベースです。代表的なRDBMSには PostgreSQL、MySQL、Oracle、SQL Server などがあります。

RDBのメリット

  1. データの一貫性が保証される(ACID特性)
    • トランザクション処理が保証されており、金融システムや会計システムなど、一貫性が求められるデータに最適。
  2. 強力な検索・集計機能(SQLクエリ)
    • JOINやGROUP BYを活用して、高度なデータ分析が可能。
  3. データの正規化が可能(重複を避ける)
    • 関係性を明確に保ちつつ、無駄なデータを減らせる。
  4. データの整合性と制約を強制できる
    • 外部キー制約、ユニーク制約、NOT NULLなどを適用可能。

RDBのデメリット

  1. スケーラビリティが低い(水平分割が難しい)
    • RDBは通常 1つのサーバーに依存する(スケールアップ型) ため、大量のデータを処理する場合に負荷が高くなる。
  2. スキーマ変更が大変
    • テーブル設計後に項目を変更すると、データ移行が必要になる。
  3. リアルタイム処理に不向き
    • 書き込み頻度が高い(秒間数千~数百万リクエスト)用途には不適。

📂 NoSQL(Not Only SQL)とは?

NoSQLは、リレーショナルモデルに依存せず、スキーマレス でデータを管理できるデータベースの総称です。代表的なNoSQLデータベースには MongoDB(ドキュメント指向)、DynamoDB(Key-Value)、Cassandra(列指向)、Neo4j(グラフDB) などがあります。

NoSQLのメリット

  1. スキーマレス(データ構造の変更が容易)
    • 新しいフィールドを柔軟に追加でき、アプリの進化に対応しやすい。
  2. 高いスケーラビリティ(分散処理が容易)
    • シャーディングやレプリケーションが簡単に設定可能で、大規模システム向き。
  3. 高速な読み書き性能(特に書き込みに強い)
    • 例: DynamoDB や Cassandra は、大量のデータをリアルタイムに処理できる。
  4. ドキュメント指向データベース(JSON型データが扱いやすい)
    • REST API やモバイルアプリとの相性が良い。

NoSQLのデメリット

  1. ACID特性が弱い(データの一貫性が保証されないことがある)
    • 一部のNoSQL(例: DynamoDB)では、最終的整合性(Eventually Consistency)しか保証されない。
  2. SQLのような複雑なクエリが苦手
    • JOINができないため、複数のクエリを発行する必要がある。
  3. データの正規化が難しく、冗長性が生じやすい
    • 関係性を考慮しない設計をすると、データが重複しやすくなる。

🔥 【実際のユースケース】どちらを選ぶべきか?

ユースケース 推奨DB 理由
オンライン決済システム ✅ RDB ACID特性が必要で、データの整合性が重要
SNS(投稿・コメント) ✅ NoSQL(MongoDB) ユーザーごとにデータ構造が異なるため、柔軟なスキーマが必要
IoTセンサーデータ ✅ NoSQL(DynamoDB) 大量のリアルタイムデータを高速書き込み
ECサイトの在庫管理 ✅ RDB 正確な在庫管理のため、リレーショナルなデータが最適
ゲームのプレイヤーデータ ✅ NoSQL(Firestore) JSONでのデータ管理がしやすく、柔軟性が高い

⚠️ よくある間違い・落とし穴

RDBを選んだのに、スケール問題に悩む

  • 例: 大量のトラフィックを処理するECサイトをRDBで運用し、負荷が高くなりすぎた。
  • 対策: データを NoSQL(DynamoDB) に分散するか、Redis などのキャッシュを導入。

NoSQLを選んだのに、複雑なクエリで困る

  • 例: MongoDBでECサイトの商品データを管理したが、「このカテゴリで最も売れた商品」などの集計が難しくなった。
  • 対策: 分析系のデータはRDB(PostgreSQL)に保存し、ハイブリッド構成を検討。

🎯 結論:どちらを選ぶべきか?

「データの一貫性・リレーションが重要」なら RDB!
「スケーラビリティ・柔軟性が重要」なら NoSQL!
「ハイブリッド構成」も有力な選択肢!(例: RDB + NoSQLの併用)

データベース選定はプロジェクトの成功を左右する重要なポイントです。本記事を参考に、適切なデータストレージを選択してください!🚀

RDB vs NoSQL 選定基準(数値・ユースケース付き)

1. データの整合性(ACID特性)が必要か?

  • YesRDB(MySQL, PostgreSQL, Oracle, SQL Serverなど)

    • トランザクションが重要(例: 送金処理、在庫管理)
    • 数値目安:
      • 1回の処理で 複数のテーブルを更新 する(例: 銀行の送金処理で「口座Aの残高減少」+「口座Bの残高増加」を確実に成功させる)
      • 一貫性・正確性が求められる業務(例: 売上管理、給与計算)
  • NoNoSQLの可能性が高い

    • 多少のデータの矛盾が許容される(例: SNSの「いいね」数、ゲームのランキング)
    • トランザクションが不要、または最終的な整合性でOK(Eventual Consistency)

ユースケース例

システム 選択 理由
銀行の送金処理 RDB 1円単位の正確な処理が必要(ACID特性)
ECサイトのカート機能 RDB 商品購入時の一貫したデータ更新が必要
SNSの「いいね」数 NoSQL(ドキュメント or KV) 最終的な整合性で問題なし

2. スケーラビリティ(拡張性)が最重要か?

  • YesNoSQL(特にキー・バリュー型やカラム型)

    • 水平方向(スケールアウト)が必要(サーバーを増やして対応)
    • 1秒間に数万リクエスト以上の高負荷 を処理
    • 例: Amazon DynamoDB, Apache Cassandra, Google Bigtable
  • NoRDB(スケールアップで対応)

    • 単一のデータベースサーバーで処理できる規模ならRDBが適切
    • 例: 1秒間に数千クエリ程度のOLTP処理

ユースケース例

システム 選択 理由
Twitterの投稿管理 NoSQL(カラム型) 数億件のデータをスケールアウトで処理
中小企業の顧客管理(CRM) RDB 数万件の顧客情報なら1台のDBで十分
Netflixの視聴履歴 NoSQL(カラム型 or KV) 数億人の視聴履歴をリアルタイムに保存

3. データ構造が頻繁に変わるか?

  • YesNoSQL(ドキュメント型)

    • スキーマレス(固定のテーブル構造が不要)
    • JSON, BSON形式で保存できる
    • 例: MongoDB, CouchDB
  • NoRDB(スキーマが安定)

    • 項目が変わらないならRDBの方が管理しやすい

ユースケース例

システム 選択 理由
ECサイトの商品情報 NoSQL(ドキュメント型) 商品ごとに異なる項目(例: 本はISBN、洋服はサイズ)
人事管理システム RDB 名前、給与などの固定項目がある

4. クエリが複雑(JOINが多用される)か?

  • YesRDB

    • 複数のテーブルを結合してクエリを実行
    • 例: PostgreSQL, MySQL, SQL Server
  • NoNoSQL

    • データを1つのドキュメントに格納する設計ができる場合
    • 例: MongoDB(ドキュメント型)、DynamoDB(KV型)

ユースケース例

システム 選択 理由
売上レポート(店舗×商品×期間分析) RDB 多くのテーブルを結合
ブログの投稿データ NoSQL(ドキュメント型) 各記事を1つのJSONで管理

5. 書き込み負荷が大きいか?

  • Yes(数万/秒)NoSQL(カラム型やKV型)

    • 例: Cassandra, Bigtable
  • No(数千/秒以下)RDBでOK

    • 例: PostgreSQL, MySQL

ユースケース例

システム 選択 理由
IoTセンサーデータ保存 NoSQL(カラム型) 毎秒大量のデータを受信
小規模な業務システム RDB そこまでの負荷はない

6. まとめ

判断基準 RDB NoSQL
整合性(ACID) 必要 不要または最終的な整合性
スケール スケールアップ スケールアウト
データ構造 固定 可変
クエリ 複雑(JOINあり) シンプル
書き込み負荷 小~中 大量
リアルタイム性 低~中

このような基準を参考に、適切なデータベースを選択してください!

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