AIが不当な規約へのサインから消費者を救う日が近づいている

本記事は、The Conversationにより翻訳されたものです。

私たちの多くは、インターネット上で商品を購入する際、利用規約を読むことなく購入します。これらの標準化された契約書の条項が譲れないものであることを当然と考え、それが私たちの最善の利益となることを望みます。

しかし、そうとは言い切れないことがあまりにも多いです。ノートパソコンメーカーから航空会社、そしてBuy Now, Pay Laterの会社まで、取引条件が公正かどうかをめぐる争いは絶えません。
この問題の大きさについて、確かな事実を得ることは難しいですが、消費者フォーラムには多くの不幸な買い物客がいることは確かです。

例えば、契約上の権利を行使するのが難しかったり、何かを買ったときに何に合意したのかわからなかったりした経験がある人は多いでしょう。そのような状況では、無料または手頃な価格の法的アドバイスを見つけることは難しく、多くの人は諦めてしまいます。

「同意する」をクリックする前に契約書を読めばいいという意見もありますが、ほとんどの人はそんな時間や能力はありません。そこで、この問題を解決する方法が、まもなく登場するかもしれません。小さな文字に目を通す必要はなく、人工知能がそれを可能にするかもしれないのです。

既に存在するもの

法律文書を分析するAIツールは、以前から非常に基本的な形で存在していました。それらは、消費者がさらに調査したいと思うような、権利侵害などの潜在的な問題にフラグを立てることができます。しかし、AIが扱えるテキスト量が限られているため、一文ずつ用語をコピー＆ペーストしなければならず、また、必要性を完全に取り除くというよりは、自分で説明文を読むためのガイドとして設計されています。

ウェブポリシー文書を読むという関連問題を解決する、より洗練されたAIツールがあります。その使い方はテキストを貼り付けるのではなく、関連するURLをアップロードするのです。ここで重要なのは、ウェブ・プロバイダーがあなたのデータをどのように使用しているかということです。これによって、AIモデルに必要な知識をすべて教えることが容易になるーー特にこのような規制の厳しい分野では。

取引条件の場合、課題はその多様性である。ベンダーは自分たちの言葉ですべてを自由に表現できるため、AIがこれらを検知し理解するのはより難しくなります。

また、英国では 「solicitor」、米国では 「attorney 」といったように、異なる司法管轄区間には多くのバリエーションがあります。つまり、米国のデータで訓練されたAIは、英国の消費者を誤解させる可能性があるということ。しかし、既存のツールでは、どの司法管轄区向けに設計されているのかが明確でないことが多いです。

ChatGPTのような最新のAIチャットボットに利用規約をコピー・アンド・ペーストするのはどうかと思うかもしれませんが、それも解決策にはなりません。これらの一般的なモデルは、法文や法的分析について特別に訓練されているわけではありません。つまり、彼らが与えるアドバイスは、正確でも不正確でも、あるいはまったくのでっち上げである可能性が高いということです。

問題の修正

我々の知る限り、ChatGPTを支えるOpen AIのGPT-4のようなモデルを使って、消費者向けの専用利用規約AIを作ろうとしている開発者チームはありません。

その代わり、多くのAI開発者は、法律事務所やその他の企業向けに法律業務を自動化するツールを開発するという、より儲かる分野に集中しているようです。サービスの質の向上よりもコスト削減に重点が置かれる可能性が高いので、消費者にとって不利な条件となる可能性さえあります。

この状況を変えるため、ポーツマス大学の主執筆者イェンス・クレブスと同僚のエラ・ヘイグは、イングランドとウェールズ向けの利用規約アプリを開発しています。開発が完了すれば、文書全体をコピーしてプロンプトに貼り付けることができるようになります。

そして、例えば2015年消費者権利法（Consumer Rights Act 2015）などの法的基準を満たさないなど、消費者に予期せぬ影響を与える可能性のある条項をリストアップします。また、類似の業者が使用している条件と比較し、異常な点がないことを確認して、何か異常な点を発見した場合は、先に進むかどうかを決める前にその部分を読むよう消費者に助言します。

このプロジェクトでは現在、さまざまなAIモデルでアプリをテストし、どれが最も効果的かを検証している段階です。今のところ、グーグルのバートが81％の精度で最も良い結果を出しており、研究者が完璧な結果がどうあるべきかを知っているデータに対してテストしています。精度が90％から95％に達するまでは、何も発表されません。

このようなプロジェクトにとって重要な障害は、AIを訓練するための不利な条件の例がないことである。これは、消費者が勇気を出して利用規約を判断しようとした場合に直面する問題とまったく同じです。ポーツマスのアプリの精度を上げ続けるための長期的な計画は、学習データを消費者団体、政府、消費者からの実際のデータで補い、置き換えることである。

このアプリが、利用規約をより不透明なものにするために設計された新世代のAIツールの先駆けとなることが期待されています。不幸な消費者の数を減らせる可能性があるだけでなく、すでに不合理な条件で契約している人たちが裁判を準備し、提示するのにも役立つかもしれません。

このようなサービスが軌道に乗れば、ベンダーが許容される限界に挑戦することを抑制することにもなるだろう。利用規約が消費者にとってもう少し有利になれば、この新興技術にとっては大きな勝利となるでしょう。

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