【0円ユーザーテスト】Claudeに聞きまくって「ユーザーが本当に欲しいもの」を作る方法
はじめに - 「自分が作りたいもの」から「相手が欲しいもの」へ
個人開発で直面する最大の壁は何だろうか?時間制約、ユーザー理解の難しさ、そして自分視点でしかモノを作れないという根本的な課題である。
私は現役ソフトウェアエンジニアとして働きながら、5年間趣味でPython競馬予想を開発し、Instagramで約5,000フォロワーに結果を発信してきた。

しかし、ある日競馬未経験の知人から言われた一言が転機となった。
「競馬やってみたいけど、どの馬買ったらいいかわからない。あなたのインスタも見ても、初心者には難しくて…」
その瞬間、私は気づいた。専門用語を当たり前に使い、私は競馬をやったことがない人の視点なんて1ビットも持っていなかったのだ。
そこで、完全初心者でも迷わず使えるツール開発に挑戦し、生成AI(Claude)を活用した効率的個人開発プロセスを実験してみた。結果として、従来数十万円かかるユーザーリサーチを0円で実現し、平日朝晩と休日だけでユーザーファーストなプロダクトを作る方ができた。
Claude活用による開発プロセス革命
1. ペルソナ設計 - AI協業で客観的ターゲット像を構築
従来のペルソナ設計では、インタビュー対象者の確保、謝礼(結構高い)、バイアス除去の困難さが課題となっていた。
そこでAIにユーザーリサーチを依頼し、ペルソナ(ユーザー像)を作成してもらった。
Claude活用で解決:
競馬に興味があるが踏み出せない人のペルソナを複数パターン作成してください。
年齢・職業・収入・価値観・課題・ニーズを具体的に設定してください。
生成されたペルソナ例:
- 健太(30歳・IT企業会社員): 「面倒は嫌だが新しいことは試したい」「競馬は興味あるけど難しそうで手を出せない」
- 拓也(45歳・管理職): 「科学的にやりたい」「最新技術を使ってみたい」「少額からはじめられる投資体験をしたい」
ペルソナに近い実際のユーザー層を確認したところ、Claudeが生成したペルソナがかなり的確だった。まさにClaudeは優秀なリサーチャーになってくれたのである。
2. ペルソナの需要を満たすアプリ設計
作成したペルソナをベースに、なぜ競馬のハードルが高いのかを分析するため、既存の競馬予想サービスの課題を洗い出してみた。その結果、以下のような課題が明らかになった。
健太の視点から、競馬を始める際のハードルの高さと、「ネット競馬」という既存サービスの課題を洗い出してください。
-
競馬用語の情報過多
「え、情報がこんなにたくさんあるの?どれを参考にすればいいか全然分からん…厩舎コメント?調教タイム?タイム指数?何それ?」 -
12名の予想家
「誰を信じればいいの?全員違うこと言ってるじゃん…」 -
学習コストの高さ
「使い方覚えるのに時間かかりすぎ。そんな暇ないって。結局どう買ったらいいかわからない」
初心者は情報過多による認知負荷が大きく、挫折しやすい傾向が見られた。こうした「面倒なことは嫌だが、新しいことは試してみたい」というニーズに応えるため、健太さんとの議論を重ね、「3クリック競馬予想AI」を考案した。
3.「3クリック」フロー設計
ステップ1: 予想開始
- Welcome画面を表示
- 親しみやすいデザインで、アプリ機能を直感的に提示
ステップ2: 予想レース選択
- 今週の重要レース2-3個のみを表示
- レース名・場所・日時のシンプルに情報
ステップ3: 確認・実行
- 選択したレース情報を表示
- ワンクリックでAI分析を開始
予想結果表示
- 推奨馬を表示
- 書い方ガイド付き
従来サービスとの比較

4. 疑似ユーザーテストで高速改善
基本的な方針が固まったため、各ステップ機能を作成し、ペルソナからフィードバックを受けて改善するというサイクルを繰り返した。
Claudeによる疑似ユーザーテスト:
添付のUI画面を見て、健太の視点で評価してください:
1. 第一印象(5秒で感じること)
2. 操作の分かりやすさ
3. 改善提案
健太視点の評価例:
「"データセットの出力"って何をするの?もっと分かりやすい言葉にして欲しい。実行後に何が起こるかわからない。どのくらい時間がかかるかも教えて欲しい。」
UI改善例:

フィードバックを基に即座に改善を実装した。(ボロクソいってくるときもあってたまに辛かった)
結果的に、AIペルソナを活用することで、従来4週間を必要とする改善サイクルを2〜3日に大幅短縮することができ、これにより迅速なテストとブラッシュアップを実現した。
一般的な改善サイクルとの比較:
- 改善サイクル:4週間 → 2〜3日
- テスト実施回数:2-3回 → 15回
- 必要コスト:数十万円 → 無料
5. 実ユーザーテストで仮説検証
競馬初心者の友人3名でテストを実施した。
結果:
- 3クリック達成率: 3/3人全員成功
- 馬券選びまでの時間: 平均20分
- 満足度: 全員が「簡単で使いやすい」と評価
つまり、ユーザビリティテストは成功だった。まるでunit testが全てグリーンになったときの爽快感である。
最も重要な学び: 自分が作りたい「高機能な分析ツール」ではなく、ユーザーが欲しい「簡単な選択支援ツール」を作ることができた。
ただし、Claudeでは予測できなかった点もあった:
- ユーザーの知的好奇心(「なぜその馬を選んだか詳細な理由が知りたい」)
- 試行錯誤欲求(「もう一度同じレースで予想したらどうなるか試したい」)
つまり、生成AIにも限界があるということだ。人間の好奇心というエッジケースは、まだAIには難しいらしい。
完成したアプリ「3クリック競馬AI」

アプリの特徴
- たった3クリック:レース選択→確認→分析開始で予想完了
- AI分析:過去の実績データをディープラーニングで総合分析
- 初心者特化:競馬知識不要で直感的に使える
生成AI時代の個人開発戦略
成功するための3つのポイント
1. AIを「協業パートナー」として活用
- 単なる作業代行でなく、思考のパートナーとして対話
- プロジェクトナレッジで文脈共有し、一貫した視点を維持
要するに、Claudeを優秀な同僚として扱うということだ。ペアプログラミングならぬ、ペアプロダクト開発である。
2. 「仮説→検証→改善」サイクルの高速化
- 平日の隙間時間でClaudeと仮説を練る
- 低コストで高速検証する
- 休日に実ユーザーテストで最終確認
つまり、アジャイル開発の個人版だ。スプリントの代わりに平日夜と休日を使う。
3. 主観から客観への転換
- 従来: 「自分が欲しいもの」を作る
- AI活用後: 「相手が欲しいもの」を理解して作る
最大の価値:「相手目線で作る力」の習得
今回の開発で最も価値があったのは、技術的なスキルアップではなく、ユーザー目線でプロダクトを設計する力を身につけたことである。
この相手が欲しいものを作る力は、個人開発だけでなく本業でも活かせる汎用的なスキルとなった。
まとめ
生成AIにより、限られた時間で企業並みの開発プロセスを回せる時代になった。最も重要なのは、AIを協業パートナーとして活用し、「相手が欲しいものを作る力」を身につけることである。
この手法により、本業で培ったスキル + AI の力で、きっと素晴らしいプロダクトが作れるはずだ。
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