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[Autodesk]Autodesk App Storeの申請手続き振り返り

2022/07/19に公開

はじめに

この記事は「Autodesk App Store」にアドイン/サービスを申請しストアに公開されるまでを記録したものです。
ADNオープンで公開されている手順書を読んだ上でもつまづくポイントが多くあったため覚書として記録します。

各種リンク先の情報が絶妙に古いものが混ざっていたりリンクが切れていたりと振り回されました。

「Autodesk製品のアドイン/サービスを開発したいけどストア公開までの流れがわからない・・・」と諦める前にご一読いただき、読者の助けになれば幸いです。
ですが、いつかこの記事の情報も古くなると思います。予めご了承ください。

変更履歴

2023/07/14 アクセシビリティ向上の目的で、全ての見出しのレベルを1つ下げた
2023/07/14 申請-ストア公開までの日付について早見表に追記
2023/07/14 EntitlementAPIがエラーを返すタイミングを訂正
2023/07/14 何世代前までのインストーラをAVAから入手できるか追記
2023/07/14 標準インストーラの作成を依頼する方法について追記
2023/07/14 無料体験版について早見表に追記


ここが困った!早見表

申請してからストア公開まで、結局どの程度かかる?

どんなアプリであっても、最低1ヵ月はかかると思ってください。

有償アプリを販売したいがアプリのIDがわからない

先にAppPageを作成すればOKです。必須項目だけ入力して作り、プレビューページのURLパラメタにid=があるはずです。
もしくは、アプリ管理ページの左上に記載されています。

なお、ストアに公開されるまではEntitlementAPIはエラーしか返さない※ので注意。
なお、新規アプリかつレビュー中であるとき、AutodeskからEntitlementを付与されるまではEntitlementAPIはエラーしか返さない※ので注意。
※しかも、JSONではなくHTMLで返される。

これを対処するために、自分で自分にEntitlementを付与する方法を探しましたが見つかりませんでした。
レビュー担当者にEntitlementAPIを使っていることを事前に連絡しておくと良いです。

値段は後から変更できる?(無償<->有償の切り替えも)

少なくとも下書き~申請後までは変更できています。
ストア登録後はわかりません。今後試してみます。
ただし、サブスクとして登録すると買い切り型や無償への変更はできないようです。

アイコンの規格がわからない

アイコンガイドラインにテンプレートがあるので参考に作る。
ADNの「アイコンに関するガイドライン(英語)」からダウンロードできます。

レビューのやり取りはどうするの?

アプリ申請後、数日待つと担当者からレビューのメール(英語)が届くと思います。
これをもとにやり取りします。
なお、指摘事項への応対はzoomでもいけるらしいです。

コード署名は必須?

いいえ。任意です。
署名していないとレビュー時に担当者から「コード署名無いけど大丈夫?」と聞かれるので間違いなければ「署名しません」と回答します。

申請したけど音沙汰がない

最初のレスポンスまで1~2週間かかるらしいです。
申請時のメールに問い合わせ先が書いているので気になるのであれば連絡すると吉。

本編読んでいただければ目安がわかると思います。

Autodesk製品持って無いけど開発できる?

ADNに入っていれば開発目的で貸し出してくれるらしい。
ライセンス料金は高額ですが、スタートアップ企業や学生の方向けの補助プログラムもあるようです。
ADNメンバーシップオプション

ADNに入っていないけど開発できる?

できます。

過去バージョンの動作確認はどうしたらいい?

Autodesk Virtual Assistant (AVA)に相談すれば過去4~5世代前のインストーラを出してくれます。
※どこまで前のバージョンを出してくれるかは未確認です。
5世代前まで出してくれます。
2023年7月14日時点で、2024~2019まで出してくれました。

プライバシーポリシー?

あなたのアドイン/サービスが個人情報を収集するのであればその取扱いを書いたサイトをリンクします。
収集しないのであれば「収集しない」と書いたサイトをリンクすればOKだと思います。
公開先はGoogleSiteがオススメ。今後、必須の項目になるらしいので準備すると吉。

オートデスク標準インストーラ・・・ってどうやって作ってもらえるの?

わかりません。事前に手続きが必要なのか、ADNパートナーでないとダメなのか・・・
問い合わせしているので回答をもらえれば更新します。

わかりました。
アプリ申請後に「インストーラを作ってほしい」旨を連絡すればOKです。
担当者からダウンロードリンクが送られてきます。

2023/07/14 追記
上記の連絡も不要でした。

ボリュームライセンスで販売できる?

できるらしいです。ただし、割引はストア機能にありません。1つ1USDなら5つで5USDです。
参考:パブリッシャー用FAQ
「ボリューム価格はどのように扱われますか(扱われるようになるでしょうか) ? 」の項目を参照ください。
費用対効果を考慮し、ストア標準のまとめ買い機能を使うよう購入者にお願いするか、ボリュームパックを準備しましょう。

有償アプリを非購入者に配布(ライセンスを付与)したい

社内外の人にアプリを配布するシチュエーションです。

  • 申請が通りストア登録後、特定のメールアドレス(Autodeskアカウント)にライセンスを付与すればOKです。

アプリ管理ページで付与すると、その人にダウンロードリンクが送られます。

申請結果を待てない、今すぐ配布したい

  • あなたのアドイン/サービスに、ライセンス認証をバイパスする機能を追加します。

当たり前ですがストア申請時にはバイパス機能を無効化してください。

ライセンス認証は必須?

いいえ。任意です。
また、無償アプリであれば不要だと思います。

なお、ライセンス認証機能は自分で実装する必要がありますが、EntitlementAPIで簡単に実装できるので有償アプリではぜひ活用しましょう。
参考:デスクトップ アプリ用の Entitlement API
ブラウザベースのアプリではIPNとユーザ登録処理を組み合わせれば実現できると思います。

PayPalアカウントはどうやって作るの?

PayPalホームページに記載があります。経理の方にお願いしましょう。
アカウント開設には2週間程度見ておいたほうがいいです。

30日無料体験期間の実装方法は?

体験版用の特別な実装は不要です。あなたが実装したEntitlementAPIの呼び出しをそのまま使えばOKです。
体験期間が終了し、ユーザが有効なEntitlementを持っていない場合はIsValid=falseになります。

無料体験期間の30日をもっと短く/長くしたい

自前でライセンスサーバを用意してください。
Autodeskが提供しているAPIなど単独では無理だと認識しています。


本編

開発

開発します。
アプリのIDがわからない、ストアにとってコード署名が必須かどうかわからない・・・
早速つまづきましたが早見表にある内容で解消しています。
Autodesk製品は過去バージョンを使っている方も多いため2018~2023まで対応させることにしました。
AVAさんに相談しインストーラを入手、テストしています。
開発者向けのリリースノートがあれば初期段階で新旧対応を意識できるのですが・・・作って動かして動かんが一番馬鹿らしいので探してみます。

デプロイ、そして申請へ

Autodesk App Storeで申請ページを作成し申請します。
特に難しい項目もないので他の製品を参考に作ります。

リジェクト

「アイコンに文字を含めないでね」との理由でリジェクトされました。

ダメと言われたアイコン。供養します。
指摘事項を見直し、再申請。

アイコンガイドラインは以下の通りです。従いましょう(自戒)
なお、原文はADNの「アイコンに関するガイドライン(英語)」からダウンロードできます。

原文ママ

Please Do:
1. Do research on what icons are available in the store already - especially for any app related to the one you're submitting.
2. Do consult with a design professional if you don't currently have one identified on your team or within your company
3. Do consider how this icon reflects your current company's identity, and how you might be able to develop a "family" of icons if you plan to publish more than one app.
4. Do leverage our resource templates for designing your own icon.
5. Do have fun and be creative

Please Don't:
1. Don't use an Autodesk product icon as part of your own icon - this infringes on our brand, and does not help you set yourself apart in Autodesk App Store.
2. Don't use screenshots – trying to cram a screen capture down to a small icon image rarely looks good, and detracts from any impression of quality you may try and convey with your app.
3. Don't use any image, logo or graphic element that you do not have the rights to use.
4. Don’t fill your icon with text. An icon is meant to be an image. An icon that is only text gives the impression that no effort or thought was putinto the icon and therefore makes the customer query the quality of the app.

和訳

Please Do:
1. ストアにどのようなアイコンがあるかリサーチしてください。特に、あなたのアプリに関連するコンセプトのアイコンを確認してください。
2. あなたの社内やチーム内にアイコンをデザインできる人がいなければ、デザイナーに相談してください。
3. あなたの会社のアイデンティティを表現できているか。もし、あなたが複数のアプリを公開する予定があれば、それらの関連性をアイコンでどのように表現できるか想像してください。
4. アイコンのデザインには、当社のリソーステンプレートをご活用ください。
5. 楽しく、クリエイティブに。

Please Don't:
1. Autodesk製品のアイコンをあなたのアイコンの一部または全部に使用しないでください。これは当社のブランドを侵害し、Autodesk App Storeでの差別化にはつながりません。
2. スクリーンショットを使用しないでください。画面キャプチャを小さなアイコンに詰め込もうとしても、良い印象を与えることはほとんどなく、アプリで伝えようとする品質の印象が損なわれてしまいます。
3. 使用権の無い画像、ロゴ、グラフィック要素は使用しないでください。
4. アイコンをテキストで埋め尽くさないでください。アイコンは画像であることに意味があります。文字だけのアイコンは、何も考えていない印象を与え、アプリの品質を疑われます。

Please Don'tの4に該当したと思います。ごめんなさい。

この時、コード署名とプライバシーポリシーについても指摘いただきました。
それぞれ対処しています。

レビューステータスが変わった

「レビューを保留(Pending review)」から「レビュー中(Under review)」に変わった。

インストーラ作成、しかしエラー?

インストーラを作成したとの連絡がありました。
「これがAutodesk標準インストーラか・・・」と感慨深くなっていましたが、アプリの動作に問題ありとの指摘がありました。操作ログを撮った動画のリンクが添付されていました。

原因はEntitlementAPIが返答できていないことだと返答。
EntitlementAPIを使っていることを事前に伝えていれば親切だったと反省しています。

この時、レビューステータスが「下書き(Draft)」に変わった。

動作確認完了!あれ?こっちでは動かないぞ?

(非営業日にメールが来たのでここだけ表記を変えています)
担当者からアプリが正常動作したと連絡がありました。
インストーラを頂いていたので、こちらでも2018~2023で動作確認したところ・・・2018と2019で動かない!
細かいことは省きます。原因究明と解決済みです。
販売前に見つかってなによりですが、開発中に見つけられるようテスト手法を見直します。

修正版を送り連絡待ち。

連絡がない・・・?

担当者にメール添付で修正版を送りましたが、連絡が来なくなりました。
「もしやAppStore経由で無いと受け取ってもらえないのでは?」と思いAppStoreから修正版を添付し再申請。
念のために再申請した旨もメール連絡し連絡待ち。

正常動作確認完了

先日と同じくインストーラの作成とアプリの動作確認が終わった連絡が来ました。
こちらでも確認し、今度こそ2018~2023全てで正常動作を確認しました。

「正常動作しました」と連絡。

承認処理

「ストアマネージャーの承認を得るための処理を行いました」と連絡がありました。
アプリに特に問題が無ければ4~5営業日でストアに公開されるようです。
「アプリの内容をさらに確認し・・・」と書かれていましたが、対応予定バージョン全てで確認してくれるのでしょうか?
(担当者は当時最新の2023だけで動作確認している雰囲気がした)

初めの申請からここまでなんだかんだ1ヵ月前後かかりましたが、いよいよストア公開目前になりました。
結果が楽しみです。

支払い処理をお試ししたい

「PayPalでの支払いが正常動作するか確認したい」と連絡がありました。
有償アプリを初めて販売するときだけこの手順があるっぽいです。
PayPalアカウントが間違いないか、購入処理後にアプリを正しくダウンロードできるか。の確認が目的のようです。

TestPurchaseのため0.01USDがPayPalアカウントに振り込まれます。それを返金すればOKです。
ただ、0.01USDを受け取ってもPayPalの手数料によって1銭も受け取れないのですが・・・
まっさらなアカウントなので残高も一切無い状態です。返金できるのでしょうか?

「PayPalアカウントの準備ができたのでテストお願いします」と返信し待機。

ストア公開!

支払い処理のテストが終わったと連絡がありました。
それと同時に「ストアに公開しました」報告もいただいています。

返金処理ですが、やはり残高不足で返金できませんでした。
PayPalとやり取り中です・・・

おわりに

無事にストア公開までたどり着いたので本記事は以上となります。
申請から公開までひと月ほどかかってしまいましたが、
全体的なやり取りは掴めたので次回以降はもう少しスムーズにできると思います。

最後に、今回開発&販売したアドインを宣伝します。
https://apps.autodesk.com/ACD/en/Detail/Index?id=1118065571829661916&appLang=ja&os=Win64
道路設計者をターゲットに開発しましたが、他業種でも活用シーンはあると思います。
もしもご興味がありましたら是非アクセスしてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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