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2025年AIエージェント元年の振り返りと、2026年エンジニアが歩むべき道

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みなさまこんにちは!エアークローゼットでCTOを務めております、です。

本記事は airCloset Advent Calendar 2025 の1日目の記事です。今年もエンジニアをはじめ、様々なメンバーがアドベントカレンダーに参加してくれていますので、ぜひ他の記事もお楽しみに!

2025年も残りわずかとなりました。振り返ると、今年は間違いなく 「AIエージェント元年」 と呼ぶべき激動の1年でした。2024年がChatGPTやClaudeといった生成AIが「登場」した年だとすれば、2025年はそれらが進化し、様々なツールに取り込まれることで 「エージェント」 として自律的に動き始めた年だったと実感しています。

本日は、2025年の振り返りと2026年の展望、そしてAI時代にエンジニアがどのようにキャリアを築いていくべきかについてお話しさせていただきます。ぜひ最後までお読みいただけたら嬉しいです。


2024年:生成AIの「登場」

まずは少しだけ2024年を振り返らせてください。

2024年は生成AI技術が急速に進化した年でした。Claude 3ファミリーのリリース、GPT-4oのマルチモーダル対応、そしてGeminiの100万トークンコンテキスト対応など、各社がしのぎを削る展開となりました。

GitHub Copilotは2024年末時点で 1,500万人以上 のユーザーを獲得し、前年比4倍という驚異的な成長を遂げました。Fortune 100企業の 90% が導入し、開発者の 51% がコーディング速度の向上を実感したという調査結果も出ています。

この時点でのAIは、あくまで「コパイロット(副操縦士)」でした。人間が主導権を握り、AIがそれを補助する形。指示を出せばコードを提案してくれる、質問すれば答えてくれる。非常に便利でしたが、まだ「道具」の域を出ていなかったように思います。


2025年:AIが「エージェント」になった年

2025年、AIは大きく変わりました。

Claude CodeDevinOpenAI Operator といった「AIエージェント」と呼ばれるツールが次々と登場しました。これらは従来のAIとは根本的に異なります。

従来のCopilot型AIが「リアクティブ(指示に反応)」だったのに対し、エージェント型AIは 「プロアクティブ(自律行動)」 です。単一タスクの支援ではなく、マルチステップの複合タスクを自走で実行できる。人間の役割は「実行者」から 「レビュワー/戦略家」 へとシフトしました。

正直、めちゃくちゃ便利です。そして、その「便利」のレベルが2024年とは桁違いでした。

エアークローゼットでの取り組み

私たちエアークローゼットでも、2025年はAI活用を積極的に推進してきました。いくつかの取り組みをご紹介します。

Claude Code Maxを全エンジニアに導入

2025年6月、私たちは 全エンジニアにClaude Max Planを導入 しました。

GitHub Copilotの研究によると、AI活用によりコーディング速度が 55%向上 するという結果が出ています。2時間41分かかっていたタスクが1時間11分で完了する計算です。この恩恵を全員が享受できる環境を整えたかった。

創業以来、エアークローゼットは技術投資を重視してきました。今回の導入もその延長線上にあります。McKinseyの調査によれば、日本企業の生成AI活用率はまだグローバル平均を下回っています。これは逆に言えば、今からでも追いつける「チャンス」でもあります。

AIを活用する側にまわらなければ生きていけない時代 が来ている。そう確信しての決断でした。

→ 詳しくはこちら:Claude Code Maxを全エンジニアに導入しました!

Claude Codeで爆速業務改善

具体的な成果の一つとして、SQL権限管理業務の自動化があります。

毎月発生する定型業務で、1回あたり5〜10分。強い権限が必要で委譲しづらく、条件分岐が多いためスクラッチ開発には工数がかかりすぎる。そんな「手が出しづらい業務改善」の典型でした。

Claude Codeを使い、ワークフローから取得できる情報パターンをMarkdownの表で整理し、実現したいシステムフローをMermaidのSequence Diagramで表現。Claude Codeがベースコードを構築し、人間が細かい調整を担当する AI×人間のハイブリッド開発 で、短期間での業務改善を実現できました。

→ 詳しくはこちら:Claude Codeで爆速業務改善!権限管理の手間をAIで削減した話

NotebookLMで書類選考をAI化

採用活動における書類選考も、NotebookLMを活用して仕組みを刷新しました。

NotebookLMにエアークローゼットの技術的な方向性や組織文化を理解させた上で、候補者の履歴書や職務経歴書を分析させます。技術的マッチ度、文化的マッチ度、成長ポテンシャル、そして 相互マッチング(候補者にとってもエアクロがプラスになるか)という観点で評価を行います。

驚いたのは、単なる時間短縮以上の効果があったことです。AIは根拠を詳細に文章化してくれるため、選考の「質」も向上しました。そして何より、優秀な候補者を見逃すリスクを大幅に減らすことができました。
→ 詳しくはこちら:書類選考をAI化してみた結果、時間短縮より嬉しい効果があった話

Claude Code on WebでPRまで自動作成

さらに進んだ取り組みとして、Claude Code on WebからGitHub Pull Requestを作成する仕組みも構築しました。

デフォルト環境ではghコマンドが制限されていますが、GitHub PATを活用し、curlとGitHub APIで対応。自作のn8nのmcp-serverからテンプレート作成にも応用しています。

→ 詳しくはこちら:Claude Code on Web内でPRまで出させる

その他取り組み

これら以外にも様々な試みを行ってきましたが、明日以降のアドベントカレンダーでも出てきますのでぜひ楽しみにしていただけたら!


2026年:AIが「当たり前」になる年

では、2026年はどうなるのでしょうか。

「モバイル革命よりも大きい」

先日、名古屋で開催された CTO Night & Day 2025 に参加してきました。日本最大級のスタートアップCTOカンファレンスで、約200名のCTO・技術リーダーが集まるイベントです。

今年は海外のトップCTOが初登壇し、非常に刺激的なセッションが多かったのですが、最も印象的だったのはSmartNews CTOの Cory Ondrejka氏 の発言でした。

彼はSecond Lifeの共同創設者・初代CTOであり、GoogleのCEO技術顧問、Facebook(Meta)でモバイル製品を主導した経歴を持つ、30年以上の技術リーダー経験者です。

セッション中、「AIの変革は、モバイル革命よりも大きいと思いますか?」という質問がありました。会場の200人のCTOたちに挙手を求めたところ、「モバイルの方が大きい」と答えた人が多数でした。

それに対してCory氏はこう言いました。

"I think you are wrong."

彼の見解では、AIは 「自動車と電気の間くらいに重要な変革」 だと。モバイル革命よりも大きい。インターネット革命よりも大きい。人類史レベルの社会変革 だと。

人類史上初めての「パートナー製品」

なぜそこまで言えるのか。

これまでのテクノロジーは、すべて「ツール」でした。人間が指示して使うもの。しかしAIは違う。理解し、対話し、時には反論もする 「パートナー」 です。

これは人類史上初めてのことです。私たちは今、そのパートナーを手に入れようとしている。

指数関数的成長の入り口

もう一つ、Cory氏が強調していたのは 「指数関数的成長」 の特徴です。

iPhoneを思い出してください。2007年の発売当初、「物理キーボードがない携帯は失敗する」と言われていました。初期3年間は緩やかな成長。しかし2010年以降、世界を変えました。

ChatGPTは2022年11月のリリースから わずか2ヶ月で1億ユーザー を達成しました。

指数関数の特徴は、初期は平らで遅いこと。そして、ある時点から急激に立ち上がること。

私たちは今、変革の入り口にいる。 まだ始まったばかりなのです。

2026年の展望

私は、2026年を 「AI活用が当たり前になる年」 と予測しています。

Gartnerの「2026年戦略的テクノロジートレンド」によれば、AIネイティブ開発プラットフォームは2030年までに80%の組織が採用すると予測されています。ドメイン特化型の言語モデルが増え、マルチエージェントシステム(複数のAIが協調して複雑な目標を達成する仕組み)も普及していくでしょう。

2025年は「AIエージェントすごい!」と驚いていた時期。2026年は、それが組織の業務フローに 当たり前のように取り込まれていく 年になるはずです。

カスタマーサポート、ソフトウェア開発支援、翻訳、業務自動化。これらの領域でAI活用が「特別なこと」ではなくなっていく。その流れは不可逆です。


AI時代にエンジニアが意識すべきこと

ここからは、AI時代にエンジニアがどのようにキャリアを築いていくべきかについて、私の考えをお話しします。

「脅威」ではなく「チャンス」

まず最初にお伝えしたいのは、AIの進化は 脅威ではなくチャンス だということです。

CTO Night & Dayで印象的だったのは、Cory氏の 「昨日の専門家は、明日は不利」 という言葉でした。

大企業は影響力は高いが、新技術(AI)を十分に理解していないことが多い。だから判断を間違える。一方、私たちスタートアップは最前線にいる。これがチャンスなのだと。

「コードを書くこと"だけ"のエンジニアは生き残れない?」という問いをよく見かけます。確かに、AIと同じ土俵で勝負してもスピードでは絶対に勝てません。しかし、それはエンジニアという職業がなくなることを意味しません。

むしろ、エンジニアの役割は 「How(どう実装するか)」から「Why(なぜ作るのか)」「What(何を作るのか)」 へシフトしています。コーディングから戦略的思考へ。これは、より本質的で価値の高い仕事に集中できるようになることを意味します。

学習速度 = 競争力

AI時代において、学習速度がそのまま競争力 になります。

従来、技術変化は数年単位で起こり、スキルの陳腐化は緩やかでした。しかし今は違う。2週間でLLMが更新 され、毎週新しいツールが登場 し、数ヶ月で取り残される 可能性がある。

だからこそ、継続的に学び続けることが重要です。そして、学んだことをチーム全体で共有し、組織として学習速度を上げていく。これがAI時代の競争力の源泉だと考えています。

非エンジニアもコードを書く時代

もう一つ、CTO Night & Dayで印象的だったのは、Raycast CEOのThomas Paul Mann氏の言葉です。

"All our designers code"

Raycastでは、デザイナーが自分でコードを書く。マーケティング担当がプロトタイプを作る。AIが専門知識の壁を壊しているのです。

これは「エンジニアの仕事が奪われる」という話ではありません。全員が新しい力を手に入れられる という話です。エンジニアは、そうした非エンジニアをサポートし、より高度な設計やアーキテクチャに集中できるようになる。

エアークローゼットでも、各部署でAIツール活用を推進し、使い方の共有会を継続しています。使わない理由を作らない。 そして、非エンジニアのコーディング支援やプロトタイプ作成の環境整備を進め、全員が実験できる組織 を目指していきます。

フルスタックエンジニアの圧倒的優位性

AI時代において、私はフルスタックエンジニアの働き方が 圧倒的に優位 だと確信しています。

専門分業型のエンジニアは、AIによって自分の領域が自動化されると、そこで行き詰まってしまう可能性があります。一方、フルスタックエンジニアはシステム全体を理解しているため、AIの 「指揮者」 として活躍できます。

実際、エアークローゼットでは2024年にドレスレンタルサービス「airCloset Dress」をわずか3ヶ月でローンチしました。フルスタックエンジニアがシステム全体を理解し、責務を分けて効率的に開発を進められたからこそ、短期間でのローンチが可能でした。専門分業していたら、各チーム間の調整だけで倍以上の時間がかかっていたでしょう。

技術領域で役割を分けない。これはエアークローゼット創業以来の思想ですが、AI時代においてその優位性はさらに高まっていると実感しています。

→ 詳しくはこちら:バイブコーディング時代におけるフルスタックエンジニアの圧倒的優位性

出社の価値

もう一つ、私が強調したいのは 出社の価値 です。

「バイブコーディング時代だからこそ、エンジニアは出社すべき」というのが私の考えです。AIがコーディングを担うことで、エンジニアの役割はWhyとWhatを深めることへシフトしています。そして、WhyとWhatを深めるためには、密なコミュニケーションが不可欠です。

「ちょっといい?」の一言で始まる相談、ホワイトボードの前での議論、廊下での雑談から生まれるアイデア。これらの価値は、リモートでは完全に再現できません。

エアークローゼットでは、CEO天沼を「Ash」、私を「Ryan」とニックネームで呼び合う文化があります。新卒エンジニアがCTOに「Ryanさん、ちょっとこのアーキテクチャについて相談があるんですけど...」と気軽に声をかけられる環境。毎週2時間の全員ミーティングで、代表の考えやKPI状況、プロジェクトの共有を行っています。

AI時代だからこそ、人と人とのコミュニケーションの価値は高まっている。私はそう考えています。

→ 詳しくはこちら:バイブコーディング時代こそ、エンジニアは出社すべき理由

継続的学習の重要性

最後に、継続的学習 の重要性について触れておきたいと思います。

AI技術は日進月歩で進化しています。今日の「最新」は、明日には「当たり前」になり、来月には「古い」になるかもしれません。

だからこそ、以下のスキルを磨き続けることが重要です:

  • 上流工程スキル:要件定義、設計、プロジェクトマネジメント
  • AIツール活用力:コード生成、テスト自動化、設計支援機能の使いこなし
  • コード読解力と修正能力:AIが生成したコードを理解し、適切に修正できる力
  • 最新動向のキャッチアップ:論文、技術ブログ、カンファレンスなどからの情報収集

そして何より大切なのは、チーム全体で学び合う文化 を作ることです。短期サイクルでの振り返り、失敗から素早く学ぶ姿勢、そして学んだことを共有する習慣。個人の学習速度には限界がありますが、チームで学び合えば、その限界を超えられます。

変化を恐れず、チャンスとして捉える。その姿勢が、AI時代を生き抜くエンジニアには必要だと思います。

→ 詳しくはこちら:生成AI時代を生きるエンジニアの生存戦略:変化をチャンスに変える


おわりに

We are at a historical turning point.
私たちは歴史的な転換点にいる。

2025年は、AIが「道具」から「パートナー」へと進化した年でした。2026年は、そのパートナーシップが当たり前になる年になるでしょう。

Cory氏が言うように、これは過去30年で最大の技術変革であり、まだ始まったばかりです。今、どう動くかで未来が変わる。

重要なのは、AIの特性を理解し、適切に活用することです。AIに全てを任せるのではなく、人間とAIがそれぞれの強みを活かして協働する。それが、これからの開発の姿だと確信しています。

「最強のアーキテクチャは存在しない」

これはエアークローゼットの10年間のシステム開発を通じて学んだ最も重要なことですが、キャリアについても同じことが言えるかもしれません。正解は一つではない。自分の強みを活かし、変化に適応し続けることが大切です。

この変化を恐れるのではなく、楽しんでいきましょう。 学び続けること、実験すること、失敗を恐れないこと、そしてチームで支え合うこと。一緒にこの変革を楽しんでいきましょう!


今年のアドベントカレンダーでも、エアークローゼットのエンジニアたちが様々なテーマで記事を書いていきます。AI活用の具体的な事例や、それに限らず日々の開発で得た知見など、実践的な内容が盛りだくさんです。ぜひ他の記事もチェックしてみてください!

エアークローゼットでは、こうした先進的な取り組みに一緒にチャレンジしてくれるエンジニアを積極的に募集しています。AI時代の開発を一緒に進化させていきませんか?
興味を持っていただけた方は、ぜひ エンジニア採用サイト「エアクロクエスト」 をご覧ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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