中国産AIエディタ「TRAE.ai」が電撃登場!もちろんAIエージェントも搭載しAI駆動開発できます
CursorやWindsurfなどが物凄い勢いでAIを活用した新しい開発体験を提供して、業界もかなりのスピードで進化している今日この頃、中国の大手ByteDance(Tiktokの会社)からもAIエディタが登場しました。
これまでAIエディタとして注目されてきたCursorやWindsurfと同様に、コードの自動生成・補完機能や、チャット型のアシスタント機能、さらにはビルダーモードと呼ばれるエージェントによる自動タスク分解・実行までサポートしているのが大きな特徴です。
Product Huntで1位を獲得し、コメント欄も大いに盛り上がりました。実際に試したユーザーからも様々なフィードバックが寄せられ、「リアルタイムAIのペアプログラミングがすごい」「どこまで自動化が進むのか楽しみ」といった意見が散見されます。
本記事では、TRAE の概要から機能解説、使い方の流れ、さらには他のAIエディタとの比較や個人的な使用感のまとめまで、なるべく網羅的に紹介していきます。ぜひ最後までご覧ください。
現在mac版のみの提供になっているのでwindowsユーザーの方は待ち状態になっているようです(2025.01.25)
動画でTRAEに関する解説も行ったので、よろしければどうぞ。実際に動かしている様子をお見せしています。
1. TRAEとは何か?
TRAE (/treɪ/) は、「本物のAIエンジニア」を謳うAIエディタです。AIを活用することでプロジェクトの0→1開発から、既存のコードへの修正、エラートラブルの解析・修正提案まで、幅広くサポートしてくれます。
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リアルタイムAIのペアプログラミング
エディタ内でのリアルタイム補完や修正提案など、常にAIが開発をサポートしてくれます。 -
タスクの自動分解・実行 (Builderモード)
チャット上で行いたいタスクを伝えると、自動でファイル編集やコマンド実行を提案・実行してくれます。
まさに「AIエージェント」としての機能を備えた次世代のIDEといえます。 -
マルチモーダル入力(画像アップロード)
画面キャプチャやデザインの画像をアップロードして、エラーの内容やデザイン方針をAIに伝えやすくする機能があります。 -
コンテキストの参照 (Context)
複数のファイルやフォルダを同時にAIに読ませることができ、より正確な回答・コード生成を得ることができます。
TRAEを使用することで、「人間がやるべきこと」と「AIに自動化させること」 を効率的に振り分けることが可能になります。特にBuilderモードは、コードの生成だけでなく、コマンド実行やエラーログ解析までAIが半自動的に行ってくれるため、開発の流れを大きく変えるポテンシャルを秘めています。
2. TRAEの主要機能と特徴
ここではTRAEの最も注目すべき機能を順番に解説していきます。
2.1 Builderモード
Builderモードは、TRAEの目玉機能のひとつ。チャットを介して「プロジェクトのコードを一括で作りたい」「ある機能の実装をまとめて行いたい」といった要望を投げると、AIが以下のような手順で作業を進めてくれます。
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タスクの分解
ユーザが投げかけた要件を理解して、複数のサブタスクに分解します。 -
コード生成やファイル編集
生成するファイルがあれば新規ファイルを作成、既存のファイルを修正する必要があれば差分を提案。 -
コマンド実行
必要に応じてシェルコマンドを提案し、「Run」ボタン一発でターミナルから直接実行。エラーがあればログを自動解析し、修正提案を行うことも。 -
結果プレビュー
Webviewとして画面を確認したり、ブラウザでの動作をチェックできる。
Builderモードでは「AIによるプロジェクト全体の見取り図」を作ってもらいながら、ユーザは提案内容をAcceptまたはRejectで取捨選択していきます。プロジェクトの規模が大きくなるほど、手動で行うより効率が高まりやすいです。
コード差分のプレビューと承認フロー
Builderモードで生成・提案されたコードは「差分(Diff)」形式で画面に表示されます。以下の3種類の操作を行うことで、細やかなコントロールが可能です。
- Accept / Reject All: 複数ファイルにまたがるすべての差分を一括承認/却下
- ファイルごとにAccept / Reject: 指定ファイルのみ承認/却下
- コードスニペットごとにAccept / Reject: さらに細かく一部分だけを承認/却下
このように、全自動だけではなくユーザが最終的な合否を判断できるため、コード品質や意図に合わない実装が混じるリスクをコントロールできます。
コマンド実行とログ解析
Builderモードでは、生成したコマンドをGUIで一発実行できます。コマンド実行後はターミナルのログをAIが自動読み込みし、エラーがあれば原因特定や修正案の提案までカバー。Linuxコマンドやフレームワーク依存のセットアップが苦手な方でもスムーズに開発を進められるでしょう。
バージョンの巻き戻し(Revert)
チャットごとにプロジェクトの差分が記録されており、過去10ラウンド以内であれば「Revert」ボタンから変更前の状態に戻すことが可能。誤った修正をまとめて巻き戻すときに非常に役立ちます。
2.2 Side Chat(Chatモード)
Builderモードと並んで重要なのが、Side Chatです。これは単純に「AIとQ&A形式でやり取りする」ためのチャットモードであり、リアルタイムのコード補完や多ファイル参照といった高度な支援も得られます。
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ファイル内容を加味した質問
特定のファイルやフォルダ全体をコンテキストとして読み込ませ、エラー修正やリファクタ案を生成。 -
マルチモーダル
エラー画面のキャプチャをアップロードしたり、デザインの画像を共有し、ビジュアル情報を活かしたアドバイスをもらうことが可能。 -
コード提案の受け入れ/拒否
Builderモード同様に、提案されたコードをその場で差分確認しながら承認or却下できる。 -
チャットにコードや端末ログを添付する
- エディタ上のコードを選択し、「Add to Chat」ボタンを押すと、そのコードがコンテキストとしてチャットのテキストエリア下部に表示されます。
- ターミナル出力をドラッグ選択して「Add to Chat」を押すと、端末ログの一部をAIに読ませられます。
こうすることで、AIがより正確な提案や回答を生成します。
2.3 Inline Chat
TRAEが提供するInline Chatは、エディタ上でショートカット(Command + I)を押すことでポップアップし、選択したコードに対する操作やコメント付与を行うのに適しています。
- コードの一部をハイライトしてからInline Chatを呼び出すと、選択した部分についての説明やリファクタ、最適化コードの提案などを即座に受けられる。
- 提案された差分は行ごとにAccept ( Command + Enter )やReject ( Command + Backspace ) などで細かく適用可否を決定可能。
実際に開発しながら、手を止めずにサクッとコードを相談したり修正提案を得たりできる点は、既存の「サイドパネル型チャット」よりも便利に感じる場合があります。
2.4 Contextの指定とマルチモーダル入力
TRAEの強みのひとつが、広範囲なコンテキストをAIに直接与えられる機能です。ChatモードでもBuilderモードでも、適切なコンテキストを指定することで、回答の精度が格段に向上します。
#Code / #File / #Folder / #Workspace
TRAEのチャット欄には 「#Contextボタン」 が備わっており、以下のように入力することで特定のソースコードやディレクトリ全体、ワークスペース全体をAIに読み込ませることが可能です。
- #Code: 特定のクラスや関数など、コード要素をピンポイントで指定
- #File: 個別ファイル全体の内容を読み込ませる
- #Folder: 指定フォルダ配下の内容をすべて参照(インデックスが構築されている必要あり)
- #Workspace: ワークスペース全体を指定し、必要な部分のみ抽出して要約・回答
このようにマルチファイルをまたいだ文脈やプロジェクト全体像をAIに把握させることで、より的確な回答が得られます。大規模プロジェクトの理解や、既存コードとの相性などをAIに判断させたいときに大きな利点があります。
画像(マルチモーダル)入力
TRAEではテキストやコードだけでなく、画像ファイルもチャットにアップロードし、エラー画面やUIデザインを直接AIに説明することが可能です。
- バグのスクリーンショットを送れば、エラーメッセージや画面構成をAIに認識させる
- デザインのモックアップをアップして「このUIをReactで実装してほしい」と依頼する
といった使い方ができ、視覚情報を交えたコミュニケーションで誤解や仕様落としを減らすのに役立ちます。
2.5 Auto-completion
もう一つの大きな特徴が、リアルタイムAIコード補完機能です。エディタにコードを書いている最中にEnterキーで改行すると、自動的にAIが現在の文脈を読んで続きを提案してくれます。
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コメント駆動: 例えば
// TODO: ここでバリデーションを書く
のようにコメントを書くと、その意図に沿ったバリデーションコードが自動提案される - TabキーやCtrl+→での段階的挿入: マウスホバーすると提案部分が表示され、一気に挿入したい場合はTab、単語ごとに挿入したい場合はCtrl+→を使用
これはGitHub Copilotなどと同様の挙動に近いですが、TRAEはBuilderモードやSide Chatなどのアシスタントと連動しやすいため、統合的にAIサポートが受けられる点が強みといえます。
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3. 利用開始までの流れ
3.1 インストール・ダウンロード
TRAEはmacOS向けのダウンロード版が先行して公開されており、公式サイトのトップページから直接ダウンロード可能です。Windows版やLinux版は今後の対応予定があるかもしれませんが、現時点ではmacOSでダウンロードできます。
- 公式サイト(trae.ai など)にアクセス
- 「Download for macOS」ボタンをクリック
- ダウンロードした.dmgファイルを開き、アプリをインストール
- インストール後、アプリを起動するとワークスペースやテンプレートプロジェクトを選択して、すぐに開発を始めることができます。
以下のページで確認できます。
3.2 ワークスペースとプロジェクト管理
TRAEはVSCodeのようなワークスペース・フォルダを開いて作業する形式です。既存のプロジェクトを読み込むこともできますし、新規にプロジェクトを作成することも可能です。VSCode拡張機能やCursorの設定をインポートする機能もあるので、移行のハードルは比較的低い印象です。
3.3 AI設定とモデル
TRAEは期間限定で**「GPT4oやClaude3.5sonnet」**など複数のモデルを切り替えて使えるといったアナウンスがありました。将来的にどのような課金体系になるかは明確には示されていませんが、無料枠である程度利用できることがアピールされています。
重要ポイント
- AIモデルを選ぶときは、精度・速度・トークン制限などを考慮
- LLM(大規模言語モデル)ごとに得意/不得意があるので、試行錯誤しながら最適な設定を見つけると良いです
5. 実際に使ってみた感想
5.1 動作の軽快さとパフォーマンス
筆者がMacBook Air M2で試した際の感触では、小規模なNext.jsアプリの開発であれば問題なく動作しました。ただし、Builderモードで多くのタスクを連続して走らせると、エディタ全体の挙動が多少重く感じられることがありました。
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ポテンシャルは高いが、まだ最適化の余地もある
Builderモードが裏で大きなコンテキスト解析や差分管理を行うため、スペックによっては高負荷を感じるかもしれません。
5.2 UI/UXの良い点・悪い点
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良い点
- エディタ内にチャットパネルが組み込まれていてシームレス。
- デザインはモダンかつシンプルで見やすい。
- VSCodeライクな拡張機能システムがあって慣れやすい。
- 「Accept/Reject」のUIが明確で、差分を確認しながら導入可否を細かく制御できる。
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惜しい点
- Builderモードを使い込みすぎるとCPUやメモリの負荷がやや高い。
- コンテキスト指定の精度が高いのか、やや疑問が残る場面あり(競合ツールとの比較で不便に感じることがある)。
5.3 プレビュー機能とブラウザ内蔵
TRAEにはブラウザを内蔵しており、開発したアプリケーションをすぐにプレビューする機能があります。例えば、WebアプリをBuilderモードで起動した後、「Preview」ボタンを押すと画面右側にWebviewが立ち上がり、そのままサイトをチェック可能です。
さらに、Previewウィンドウ内の操作(画面キャプチャを取って再度AIに入力など)が将来的に拡張されれば、フロントエンドのバグ修正を自動化する自立エージェント的な発展が見込めるかもしれません。この方向性は他のAIエディタにはないユニークさで、今後の展開が楽しみなところです。
6. 他のAIエディタとの比較
6.1 Cursorとの比較
Cursorは既に多くのユーザを抱えるAIエディタであり、実用性・完成度が高いと評判です。TRAEとCursorは機能的に非常に似ていますが、次のような差異があるように感じます。
- UI/UXの洗練度: Cursorはシンプルかつ馴染みやすいUIが特徴。一方TRAEも視覚的には近いが、所々レスポンスが遅かったり、まだ洗練が足りない部分を感じる人もいる。
- パフォーマンス: Cursorの方が比較的軽快、という感想。TRAEは今後最適化される可能性あり。
6.2 Windsurfとの比較
Windsurfは大規模コンテキストでのやり取りを得意としており、複数ファイルの横断的な解析力に優れていると言われます。TRAEもコンテキスト指定機能はあるものの、実際に使い込んでみるとWindsurfほど高度なプロジェクト全体理解を感じられないケースがあるかもしれません。
- コンテキスト認識: Windsurfが得意とする大規模コードベース解析と比べると、TRAEはまだ若干劣る印象を受けるというユーザの声も。
- マルチモーダルへの対応: TRAEは画像アップロードができる点があるが、これはWindsurfも得意の分野
6.3 Clineとの比較
ClineもAIコード補完エディタの一種ですが、CursorやWindsurfほどの完成度はまだ追いついていないという声がある一方、シンプルに軽量で使いやすいとの意見もあります。TRAEはClineよりは多機能であり、全体としてCursorやWindsurfとClineの中間という見方もできます。
7. TRAEの可能性と今後
TRAEは次のような面で大きな可能性を秘めていると感じます
- ブラウザ内蔵による自立型エージェントの発展
このWebViewを内蔵するのは実はTRAEの大きな特徴です。
あくまで、筆者の推測ですがBuilderモードと組み合わせて、アプリ画面のUIやバグを自動解析・自動修正する流れが実現すれば、開発効率はさらに高まるでしょう。
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マルチモーダルの進化
画像による指示だけでなく、音声や動画、デザインツールなどとも連携できるようになると、プロダクト全体のコンセプトや要件を自然言語以外から理解してくれる可能性があります。 -
チームコラボレーション
現時点でもAIと人間のペアプログラミング感覚で利用できますが、将来的にGitやIssue管理ツールと連携すれば、チーム全体の開発サイクルが大幅に効率化される余地があります。
ByteDanceという巨大IT企業のリソースを背景に、今後のアップデートで機能拡充や最適化が進むことが期待されます。
8. 現時点での料金・プランは?
2025年1月末時点では、無料で使える枠がかなり広く提供されているとの情報があります。一部アナウンスによれば、限定的に「Claude3.5sonnet」や「GPT4o」相当のモデルを無料で試せるキャンペーンを行っているという話も聞かれます。
今後は高精度AIを使うためにはサブスクリプションやトークン制従量課金などのプランが導入される可能性が高いと推測されます。CursorやWindsurfなどの既存競合の多くは無料枠 + 有料プランのハイブリッド形態をとっているため、TRAEも同様のモデルを採用する可能性が高いでしょう。
9. TRAEを使うメリット・デメリットまとめ
最後に、TRAEのメリット・デメリットを簡潔に整理します。
メリット
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Builderモードによる強力な自動化
タスク分解からコード作成、コマンド実行、バージョン管理までAIで半自動化できる。 -
マルチモーダル入力対応
画像を含む豊富なコンテキストが扱えるため、エラー画面やUIデザインを直接AIに伝えられる。 -
UI/UXのモダンデザイン
シンプルで直感的な操作感、VSCode拡張機能をインポートできるなどユーザフレンドリー。 -
ブラウザ内蔵プレビュー
その場でWebアプリの動作確認ができ、将来の自動化にも期待がかかる。
デメリット
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パフォーマンスの重さ
Builderモード連続使用時など、高負荷でエディタ全体が重くなる可能性。 -
コンテキスト解析の完成度がやや低い?
Windsurfなどの大規模プロジェクト解析が強いツールと比較して、まだ最適化が足りない印象。 -
課金体系が不透明
現時点で無料が多く使えるが、今後どうなるかは情報が乏しい。 -
OS対応・安定度
macOS向けがメインで、Windows/Linuxユーザは対応状況を要確認。大規模プロジェクトだと動作が不安定になる可能性もある。
10. まとめ
TRAEは、TikTokの運営で知られるByteDanceのリソースが関わっているとされる新興AIエディタとして大変興味深い存在です。
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リアルタイムのAIコーディング支援や、Builderモードを使ったタスクの自動分解&実行など、いわゆるAIペアプログラミング以上の高度な機能を備え、次世代IDEの原型を示しています。
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さらに、マルチモーダル入力やブラウザ内蔵プレビューといったユニークな要素が、今後フロントエンド自動修正や画像からのコード生成などの未来的な機能へ発展する可能性を感じさせてくれます。
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他の競合ツール(CursorやWindsurf)と比較すると、まだ最適化や完成度の面では多少の差を感じるかもしれません。しかし、現段階で無料枠もあり、試しやすい環境が整っているため、一度触れてみる価値は十分にあるでしょう。既にCursorやWindsurfを使い込んでいる方であれば、あまり目新しさはないかもしれませんが使ってみても面白いでしょう。
「AIエンジニア」による全自動化が当たり前になりつつある今、TRAEは確かなインパクトを与える製品です。将来的にはより完成度の高いAI連携や画期的なエージェント機能へと進化する可能性を秘めています。興味のある方はぜひ公式サイトやProduct Huntのコメント欄を覗いてみて、実際にインストールして試してみてください。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。今後もAI分野の新しい活用方法や開発テクニックを、X(旧Twitter)やYoutubeでいち早く紹介していきます。少しでも興味があれば、ぜひフォローして最新情報をチェックしてくださいね!👇
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