AWS Activateクレジットで始める Amazon Bedrock (Claude 3.7 Sonnet) 活用ガイド
1. AWS Activateクレジットの概要と適用方法
AWS Activateの仕組み: AWS Activateはスタートアップ向けの支援プログラムで、対象企業にクラウド利用クレジットを提供します。多くのスタートアップは最大10万ドル相当のAWSクレジットを受け取る資格があり (AWS Activate クレジットの申請: ステップバイステップガイド - AWS Startups)、これにより初期コストを気にせずAWSの各種サービスを試すことができます。例えばインフラ(計算資源やストレージ)はもちろん、Amazon Bedrock上で提供される生成AIモデルの利用料にもこれらクレジットを充当可能です (AWS Activate クレジットの申請: ステップバイステップガイド - AWS Startups)。実際、AWS ActivateクレジットはAnthropicやAI21 Labsなど主要AI企業の基盤モデルを提供するAmazon Bedrockでのサードパーティ製モデル利用にも使えるようになりました (AWS Activate クレジットについて知っておくべきすべてのこと - AWS Startups)。
クレジットの申請・適用手順: AWS Activateクレジットを利用するには、まずプログラムへの申し込みが必要です。以下に基本的なステップを示します:
- AWSアカウントとビルダーIDの準備: AWSアカウントを持っていない場合は作成し、個人用のAWSビルダーIDを新規登録します (AWS Activate クレジットの申請: ステップバイステップガイド - AWS Startups)。ビルダーIDは個人を識別するもので、既存のAWSアカウントとは独立したIDです。
- Activateメンバープロファイルの作成: ビルダーIDでログイン後、AWS Activateのページでスタートアップ情報(企業名、ウェブサイト、事業概要など)を入力し、プロフィールを完成させます (AWS Activate クレジットの申請: ステップバイステップガイド - AWS Startups) (AWS Activate クレジットの申請: ステップバイステップガイド - AWS Startups)。
- クレジットパッケージの選択: 自社が対象となるパッケージを選びます (AWS Activate クレジットの申請: ステップバイステップガイド - AWS Startups)。資金調達状況や支援組織からの紹介有無に応じて、Foundersパッケージ(自己資金のアーリーステージ向け、通常$1,000程度)またはPortfolioパッケージ(アクセラレータやVCの紹介がある場合で最大$100,000まで)を選択します。例えばPortfolioパッケージでは提携するアクセラレーター等の組織IDを提供する必要があります (AWS Activate クレジットについて知っておくべきすべてのこと - AWS Startups)。
- 追加情報の入力: ビジネスモデルやサービス内容、これまでの資金調達額などスタートアップに関する詳細をフォームに記入します (AWS Activate クレジットの申請: ステップバイステップガイド - AWS Startups)。AWSが審査する際の判断材料となるため、正確かつ魅力的に記述しましょう。
- AWSアカウントのリンクと検証: Activate申請に利用するAWSアカウントをビルダーIDにリンクします (AWS Activate クレジットの申請: ステップバイステップガイド - AWS Startups)。リンク後、コンソール上で「アカウントを検証」をクリックし、有効なアカウントであることを確認します (AWS Activate クレジットの申請: ステップバイステップガイド - AWS Startups)。
- 申請の提出: 全て入力し終えたら内容を確認し送信します (AWS Activate クレジットの申請: ステップバイステップガイド - AWS Startups)。通常7~10営業日以内に結果の通知メールが届き、承認されればクレジットが付与されます。
Bedrockへのクレジット適用方法: AWS Activateクレジットがアカウントに付与されると、自動的に対象サービスの請求に充当されます (AWSのスタートアップ支援内容(AWS Activate)についてまとめてみた|SJ)。特別な設定をしなくても、Amazon Bedrockでモデルを呼び出した際に発生する料金はまずクレジット残高から差し引かれる仕組みです。したがって、Activateクレジット取得後はBedrockの利用を開始するだけでOKです。例えばAnthropic Claudeモデルを使用しても、その使用料はクレジットで相殺され請求額には反映されません (AWS Activate クレジットについて知っておくべきすべてのこと - AWS Startups)。なお、Bedrock上の一部サードパーティモデル(Anthropicなど)は利用開始前にマーケットプレースでの利用同意(サブスクリプション手続き)が必要です (AWS Bedrock | Cline)。次章では、そのAmazon Bedrockのセットアップ手順について詳しく見ていきます。
2. Amazon Bedrockのセットアップ
Bedrockの概要と特徴: Amazon BedrockはAWSが提供するフルマネージドの生成AIプラットフォームです。AI21 LabsのJurassic-2やAnthropicのClaude、CohereやMetaのLlama 2、そしてAWS独自モデルなど、複数の高性能な基盤モデル(Foundation Model)を一つの統一APIで利用できるのが特徴です (AWS Activate クレジットの申請: ステップバイステップガイド - AWS Startups)。これにより開発者は複数のモデルを比較したり組み合わせたりしながら、インフラ管理の負担なくアプリケーション開発に集中できます。またAWSのサービスであるため、既存のクラウドリソースやセキュリティ統制と統合しやすく、企業利用にも適しています。
Claude 3.7 Sonnet利用準備(IAMロール、APIキー設定): BedrockでAnthropic社のClaude 3.7 Sonnetモデルを使うには、まず環境設定を行います。以下が主な準備事項です:
- 利用リージョンの確認: Bedrockは現在利用可能なリージョンが限られています(例: 米東部バージニア、オハイオ、米西部オレゴンなど (Anthropic's Claude 3.7 Sonnet is now available in Amazon Bedrock - AWS))。まずAWSマネジメントコンソールでBedrockサービスを開き、利用したいリージョンを選択します。リージョンによって使用できるモデルが異なる場合があるため、「モデルアクセス」欄でAnthropic Claudeなど必要なモデルに**「アクセス許可済み」と表示されていることを確認します (AWS Bedrock | Cline)。もし表示が無い場合は利用リクエスト**を行ってください(Bedrockサービス初利用時に案内があります)。
- IAM権限の設定: Bedrockを呼び出すためのIAMユーザーまたはロールを用意します。AWS管理ポリシーのAmazonBedrockFullAccessをアタッチすることで、Bedrockの各種API(モデルのInvokeなど)を実行する権限を付与できます (AWS Bedrock | Cline)。必要に応じてネットワーク関連の権限(VPCエンドポイント使用時)も考慮しますが、まずはフルアクセス権限で動作確認するとよいでしょう。
- サブスクリプション(利用同意)の実施: 前述の通り、Anthropicなどサードパーティ提供のモデルは初回利用時にマーケットプレースを通じた利用承諾が必要です (AWS Bedrock | Cline)。Bedrockのコンソール画面から対象モデルを選び、利用規約に同意してサブスクライブしてください。一度承諾すれば同リージョン内で以後は自由にAPI呼び出しが可能になります。
-
APIキー/クレデンシャル設定: Bedrock自体に固有のAPIキーはありませんが、AWS SDKやCLIから利用するために認証情報を設定する必要があります。AWSクレデンシャル(アクセスキーIDとシークレットキー)をマシン上に設定するか、CLIの
aws configure
で入力しておきましょう。VS Code拡張のClineなどを使う場合も、このアクセスキーを入力することでBedrockに接続できます (AWS Bedrock | Cline)。セキュリティの観点では短期クレデンシャルやAWS SSO経由の一時ロール利用が推奨されています (AWS Bedrock | Cline)。
初回セットアップ手順: 上記準備が整ったら、実際にBedrock経由でClaude 3.7 Sonnetを呼び出す環境を構築します。手順の一例を示します:
-
AWS CLI/SDKのインストール: ローカル環境からBedrockを使うにはAWS CLIまたはAWS SDKが必要です。AWS CLIをインストールして
aws configure
で先ほど用意したアクセスキーなどを設定します (How to Use Claude with Amazon Bedrock - Step by Step Guide – AI StartUps Product Information, Reviews, Latest Updates)。言語別のSDK(Pythonのboto3など)を使う場合も同様に設定してください。 -
モデルIDの確認: 利用可能なモデル一覧を取得し、Claude 3.7 SonnetのモデルIDを確認します。AWS CLIなら
aws bedrock list-foundation-models --region <リージョン> --by-provider anthropic --query "modelSummaries[*].modelId"
を実行するとAnthropic提供モデルのID一覧が得られます (How to Use Claude with Amazon Bedrock - Step by Step Guide – AI StartUps Product Information, Reviews, Latest Updates)。例として、Claude 3.7 SonnetのモデルIDは"anthropic.claude-3.7-sonnet-...:0"
という形式になっています(具体的なバージョン番号や日付が入ります)。 -
簡単なAPIコールのテスト: 準備確認として、Bedrock Runtime APIでモデルにリクエストを送り応答を得てみます。Pythonの場合、
boto3
を用いて次のようなコードでテストできます:
import boto3, json
# Bedrockクライアントを初期化(リージョンは使用するリージョンに変更)
bedrock = boto3.client("bedrock-runtime", region_name="us-east-1")
model_id = "anthropic.claude-3-7-sonnet-2025xxxx-v1:0" # Claude 3.7 SonnetのモデルID
prompt = "Hello, world"
# Claude向けのリクエストペイロード作成(メッセージ形式)
payload = {
"messages": [ { "role": "user", "content": prompt } ],
"max_tokens": 100
}
# モデルをInvokeし、結果をJSONとして取得
response = bedrock.invoke_model(
modelId = model_id,
contentType = "application/json",
body = json.dumps(payload)
)
result = json.loads(response["body"].read())
print(result["content"][0]["text"])
上記コードでは、「Hello, world」というユーザー入力に対するClaude 3.7 Sonnetの応答テキストを標準出力しています。 (aws-doc-sdk-examples/python/example_code/bedrock-runtime/models/anthropic_claude/invoke_model.py at main · awsdocs/aws-doc-sdk-examples · GitHub) (aws-doc-sdk-examples/python/example_code/bedrock-runtime/models/anthropic_claude/invoke_model.py at main · awsdocs/aws-doc-sdk-examples · GitHub)(実際のモデルIDは環境に合わせて書き換えてください)。同様にAWS CLIからaws bedrock invoke-model
コマンドを使ってテキストを送信することも可能です。
- 料金の確認: Activateクレジットが適用されている場合でも、利用料は一旦通常通り請求書に計上されます。AWSコンソールの課金情報で、クレジットによってBedrockの費用が控除されていることを確認すると安心です(クレジット残高や適用履歴はBillingダッシュボードで確認できます)。
以上でAmazon Bedrockの基本セットアップは完了です。次章では、Bedrock上で利用可能なAnthropic Claude 3.7 Sonnetモデルの特徴と、具体的な活用例について見てみましょう。
3. Claude 3.7 Sonnetの活用例
Claude 3.7 Sonnetの特徴と利点: Claude 3.7 SonnetはAnthropic社が提供する最新世代の大規模言語モデルで、従来モデルに推論能力を統合した「ハイブリッド推論」モデルです (Claude 3.7 Sonnet: Anthropic’s most intelligent model now available on Amazon Bedrock)。通常モードでは高速な応答が得られますが、必要に応じてextended thinking(拡張思考)モードに切り替えることで、問題を解決する思考過程(いわゆるチェイン・オブ・ソート)をステップバイステップで実行・表示できます (Claude 3.7 Sonnet: Anthropic’s most intelligent model now available on Amazon Bedrock)。これによりユーザーはモデルが「考えていること」を追跡でき、複雑な課題に対しても透明性の高い結果を得ることができます。
Claude 3.7はAnthropicのこれまでのモデルの中で最も高性能であり、コーディングや数学、物理などの分野で大きな性能向上が報告されています (Anthropic's Claude 3.7 Sonnet is now available in Amazon Bedrock - AWS)。特にコード生成・コード理解能力は強化されており、開発者ツールとの親和性が高いです。また最大で100k以上のトークン長を扱える大きなコンテキストウィンドウ(長文や大量のテキストも一度に処理可能)や、出力トークン数最大128Kという拡張もサポートされています (NEW Anthropic Claude 3.7 Sonnet - Amazon Bedrock) (NEW Anthropic Claude 3.7 Sonnet - Amazon Bedrock)。これは長いドキュメントの要約や大規模なコードベースの解析にも威力を発揮します。
さらに、**推論予算(thinking budget)**を開発者が制御できる点も特徴です。extended thinkingモードでモデルにどこまで深く「考えさせるか」をトークン数で指定できるため、速度と精度のトレードオフを柔軟に調整できます (Claude 3.7 Sonnet: Anthropic’s most intelligent model now available on Amazon Bedrock)。例えば迅速な応答が欲しい場合は推論予算をゼロにして通常モードで回答させ、難問に挑戦させたい場合は数千トークン分の深掘り思考を許可するといった使い分けが可能です。
(Claude 3.7 Sonnet: Anthropic’s most intelligent model now available on Amazon Bedrock) Anthropic Claude 3.7 SonnetはBedrock上で利用可能な最新モデルで、標準応答モードと拡張思考モードを切り替えながら、高速かつ高品質なアウトプットを提供します (Claude 3.7 Sonnet: Anthropic’s most intelligent model now available on Amazon Bedrock) (Claude 3.7 Sonnet: Anthropic’s most intelligent model now available on Amazon Bedrock)
基本的なAPIリクエストの方法: Claude 3.7 Sonnetは対話形式のAPIで利用します。入力はメッセージのリスト(会話履歴)で渡し、各メッセージにrole
(例: "user" や "assistant")とcontent
(テキスト内容)を指定します。モデルに指示を与える場合はsystemプロンプトやassistantプロンプトも活用できます。Bedrock経由でのAPI呼び出しでは前章のコード例のようにinvoke_model
にJSONペイロードを渡します。応答はJSONで返り、その中のcontent
フィールドにモデルの回答テキストが含まれます (aws-doc-sdk-examples/python/example_code/bedrock-runtime/models/anthropic_claude/invoke_model.py at main · awsdocs/aws-doc-sdk-examples · GitHub) (aws-doc-sdk-examples/python/example_code/bedrock-runtime/models/anthropic_claude/invoke_model.py at main · awsdocs/aws-doc-sdk-examples · GitHub)。Claude 3.7ではextended思考モードを有効にする特殊パラメータ(例えばAnthropic独自のthinking
モード指定やbudget_tokens
の指定)が追加で利用可能ですが、基本的なリクエスト構造は従来モデル(Claude 2など)と同様でシンプルです。
具体的なユースケース: Claude 3.7 Sonnetは汎用性が高く、さまざまな開発場面で活用できます。以下にいくつかの例を挙げます。
- コード生成: 強化されたコーディング能力を活かし、自然言語で記述した要件からソースコードの一部や関数を生成できます。例えば「与えられた配列をマージソートでソートするPython関数を書いて」とプロンプトすれば、手続き的なステップを思考した上で正確なコードを出力します。拡張思考モードを使えば、コードの検証や改善ポイントの理由づけまで示してくれるため、レビューにも役立ちます (Claude 3.7 Sonnet: Anthropic’s most intelligent model now available on Amazon Bedrock)。
- データ解析: Claudeはテキストベースでデータの分析や要約を行うのも得意です。例えば大きなCSVの内容説明や統計レポートの要約を依頼すると、内容を理解し重要なポイントを抽出してくれます。複雑な数式計算や物理的な問題も、途中経過を論理的に展開することで高精度な回答を得られます(extended思考モード時の顕著な改善点の一つです (Claude 3.7 Sonnet: Anthropic’s most intelligent model now available on Amazon Bedrock))。
- チャットボット開発: Claude 3.7は会話エージェントとしても高性能で、100kトークンもの長い文脈を保持できるため長時間の対話にも向いています。Bedrock APIを使ってFAQ対応やカスタマーサポート向けのチャットボットを構築すれば、ユーザーの質問意図を正確に理解し、段階的な推論を経て的確な回答や追加質問を提示できます。安全性にも配慮されたモデルなので、不適切な応答生成を抑える設計になっている点も安心です (Anthropic's Claude 3.7 Sonnet is now available in Amazon Bedrock - AWS) (Claude 3.7 Sonnet and Claude Code \ Anthropic)。
これらのユースケース以外にも、文章の校正や創作支援、要件に基づくテストケース生成など、エンジニアの生産性向上につながる幅広い応用が期待できます。実際、開発者向けのAIツール評価においてClaude 3.7 Sonnetは「実践的なコーディング作業で再び最高クラスの性能を示した」と評価されており (Claude 3.7 Sonnet and Claude Code \ Anthropic)、日常の開発ワークフローに組み込むことで恩恵を受けられるでしょう。
4. CursorとClineの活用
次に、Claude 3.7 Sonnetを活用した開発を効率化するためのツールとしてCursorとClineという2つのAIコーディング支援ツールを紹介します。これらをAmazon Bedrock+Claudeと組み合わせることで、強力なAIペアプログラミング環境を構築できます。
Cursorの概要とセットアップ手順: Cursorは2024年に登場した次世代のAI搭載コードエディタです (Cursorとは?AIコードエディタの全機能と使い方完全解説 - 株式会社アドカル)。Visual Studio Code(VS Code)をベースに開発されており、既存のVS Code拡張機能やキーバインドをそのまま利用しながら、ChatGPTやClaudeなどの高度なAI機能がシームレスに統合されています (Cursorとは?AIコードエディタの全機能と使い方完全解説 - 株式会社アドカル)。コードの自動生成からリファクタ、デバッグ補助まで開発作業全般をAIがサポートしてくれるのが特徴です。
- 主な機能: エディタ内でAIチャットによるコード提案・修正(Ctrl+Kで選択コードに対する指示入力)や、コードベース全体を対象に質問できるCodebase Answers、複数行にわたる高度なコード補完、さらには単体テストの自動生成など、開発者の意図を汲んでコーディングを手助けする機能が豊富に備わっています (Cursorとは?AIコードエディタの全機能と使い方完全解説 - 株式会社アドカル)。
- モデルの利用: CursorはデフォルトでOpenAI GPTモデルとの連携が可能で、ProプランではGPT-4やAnthropic Claude(Claude 3.5相当)も利用できます (Cursor AI Editor — Is It Actually Useful? - DEV Community)。無料プランでも一定回数のAI補完が可能なため、まずはインストールして試すことができます。
- インストールと設定: 公式サイトからWindows/Mac/Linux向けのインストーラをダウンロードしてインストールします (【Cursor】次世代AIコードエディタで業務効率化!使い方や料金、機能を徹底解説 | WEEL)。起動後、Cursor内でアカウント作成(またはGitHubアカウント連携)し、利用するモデルのAPIキーを設定します。CursorはOpenAI形式のAPIを想定しているため、現時点でAWSのBedrockを直接指定するオプションはありません (Add support for Amazon Bedrock from AWS #1249 - GitHub)。しかし、後述する「Bedrock Access Gateway」というプロキシを用いることで、CursorからBedrock上のClaudeにリクエストを送ることが可能です (Using Amazon Bedrock as a Custom OpenAI Server Alternative in Cursor | The road) (Using Amazon Bedrock as a Custom OpenAI Server Alternative in Cursor | The road)。
CursorでBedrock Claudeを使う方法(ベッドロックゲートウェイの活用): AWS提供のBedrockアクセスゲートウェイ (Access Bedrock Claude 3/3.5 Models with Alfred OpenAI ChatGPT Workflow | The road)をデプロイすると、OpenAI互換のREST APIエンドポイントを自前で立てることができます。これを使いCursorに「カスタムOpenAIサーバ」として認識させる手順は以下の通りです:
- Bedrock Access Gatewayのデプロイ: AWS公式のサンプルを参考に、AWSアカウント上にゲートウェイを構築します (Access Bedrock Claude 3/3.5 Models with Alfred OpenAI ChatGPT Workflow | The road)。CloudFormationテンプレート経由でLambdaまたはFargate上にAPIを立ち上げることができ、エンドポイントURLとAPIキー(Secrets Managerで管理)が発行されます (Access Bedrock Claude 3/3.5 Models with Alfred OpenAI ChatGPT Workflow | The road)。
- Cursorへのエンドポイント設定: Cursorの設定画面を開き、「Models(モデル)」セクションでOpenAI APIのカスタム設定を行います。先ほど取得したゲートウェイのエンドポイントURLをOpenAI API Base URLに、APIキーをOpenAI API Key欄に入力します (Using Amazon Bedrock as a Custom OpenAI Server Alternative in Cursor | The road)。これにより、CursorはOpenAIではなくこのゲートウェイにリクエストを送信するようになります。
- 動作確認: Cursor上で使用モデルをGPT-4など任意のOpenAIモデルに設定し(ゲートウェイ側でリクエストをClaudeに転送してくれるため、表向きの選択モデルは何でも構いません (Using Amazon Bedrock as a Custom OpenAI Server Alternative in Cursor | The road))、実際にコード補完やチャットを実行してみます。正しく設定できていれば、裏側ではClaude 3.7 Sonnetが応答を生成し、Cursor上に結果が表示されます。これで、AWS Activateクレジットを活用したBedrock上のClaudeを、まるでCursorが公式対応しているかのように使えるようになります。
Clineの概要とセットアップ手順: ClineはVS Code向けのオープンソースAIコーディングアシスタント拡張機能です (GitHub - cline/cline: Autonomous coding agent right in your IDE, capable of creating/editing files, executing commands, using the browser, and more with your permission every step of the way.)。Claude 3.7 Sonnetの持つエージェント的なコーディング能力(自律的にプランを立て実行する能力)を活かして、コードの生成・編集だけでなくファイル操作やターミナルコマンドの実行まで含め開発を支援してくれます (GitHub - cline/cline: Autonomous coding agent right in your IDE, capable of creating/editing files, executing commands, using the browser, and more with your permission every step of the way.)。プラグインのインストール数は既に80万超えと人気が高まっており (Cline - Autonomous Coding Agent for VSCode)、まさに「オートノマス(自律)コーディングエージェント」を体現するツールです。
- 主な特徴: ClineはチャットベースのUIを通じて動作しますが、通常のコード補完と異なりPlanモード(まず方針を考える)とActモード(実際にコードを書き変更する)を使い分けながら進行します (GitHub - cline/cline: Autonomous coding agent right in your IDE, capable of creating/editing files, executing commands, using the browser, and more with your permission every step of the way.)。ユーザーが「〇〇なアプリを作成して」と指示すると、まず必要なファイルや関数の構成をプランニングし、その後自動でファイルを生成・編集していきます (GitHub - cline/cline: Autonomous coding agent right in your IDE, capable of creating/editing files, executing commands, using the browser, and more with your permission every step of the way.) (GitHub - cline/cline: Autonomous coding agent right in your IDE, capable of creating/editing files, executing commands, using the browser, and more with your permission every step of the way.)。途中でテストを実行したり、エラーが出れば修正を試みたりと、まるで人間の新人プログラマが先輩の助言の下でコーディングしているかのような挙動を示します。
- ツール統合: Clineは「ツール」と呼ばれる機能拡張を使って、ブラウザ操作(ヘッドレスブラウザを起動してクリックやスクロールを実行)やシェルコマンド実行を行えます (GitHub - cline/cline: Autonomous coding agent right in your IDE, capable of creating/editing files, executing commands, using the browser, and more with your permission every step of the way.) (GitHub - cline/cline: Autonomous coding agent right in your IDE, capable of creating/editing files, executing commands, using the browser, and more with your permission every step of the way.)。これにより、依存パッケージのインストールやビルド、サーバ起動→動作確認まで自動化でき、人間は重要な判断(実行許可や最終レビュー)のみに集中できます。
- モデルの利用: Clineは複数のAIプロバイダーをサポートしており、Anthropic ClaudeやOpenAI GPTはもちろん、AWS BedrockやAzure OpenAI、Google Vertex AIなどもバックエンドとして選択可能です (cline/locales/ja/README.md at main · cline/cline · GitHub)。設定でBedrockを選びAWS認証情報を与えることで、VS Code上から直接Bedrock内のClaude 3.7 Sonnetを使うことができます (AWS Bedrock | Cline) (AWS Bedrock | Cline)。
-
インストールと設定: まずVS Code(最新版)を用意し、拡張機能マーケットプレイスから「Cline」を検索してインストールします (AWS Bedrock | Cline)。インストール後、VS Code右下などに表示されるClineのログイン画面で簡単なセットアップを行います(OpenRouterという無料ルーティングサービスの初期設定が入る場合があります)。次にClineの設定(Settings)を開き、API Providerとして「AWS Bedrock」を選択します (AWS Bedrock | Cline)。するとAWS認証情報(アクセスキーID/シークレット、リージョン)の入力欄が出るので、前章で準備したIAMユーザーのキーを入力します (AWS Bedrock | Cline)。最後にモデルを選択しますが、例えば**
anthropic.claude-3-5-sonnet...
**といったモデルIDが一覧に出ますので(執筆時点では3.7 Sonnetも順次追加予定)、利用したいものを指定して設定を保存します (AWS Bedrock | Cline)。これでVS Code内のClineチャットに「Bedrock経由のClaude」を呼び出す準備が整います。あとは試しに「与えられた整数が素数か判定するPython関数を書いてください」などプロンプトを送信し、正しくコードが生成されるか確認しましょう (AWS Bedrock | Cline)。
Bedrock+Claude+Cursor/Clineの組み合わせにより、強力なAI開発環境が構築できます。特にClineはBedrockを公式サポートしているため設定も容易で、権限さえ適切に与えればすぐに使い始めることができます (cline/locales/ja/README.md at main · cline/cline · GitHub)。次章では、これらを活用したサンプルプロジェクトと開発ワークフローの例を紹介します。
5. 実際に試すためのサンプルコードとデモ
Amazon Bedrock+Claude 3.7 Sonnetを用いたサンプルプロジェクト: ここでは、簡単なチャットボットアプリを想定したサンプルコードを示します。ユーザーからの質問に対し、Claude 3.7 Sonnetが回答を返すバックエンドをPythonで構築してみましょう。
import boto3, json
# Bedrock Runtimeクライアントの初期化(リージョンと認証情報は事前設定済みとする)
client = boto3.client("bedrock-runtime", region_name="us-east-1")
model_id = "anthropic.claude-3-sonnet-20240229-v1:0" # Claude 3.7 Sonnet (例)
print("Chatbot Ready. Type your question and hit Enter:")
while True:
user_input = input("You: ")
if not user_input:
break # 空行で終了
# メッセージペイロードの準備
payload = {
"messages": [
{"role": "user", "content": user_input}
],
"max_tokens": 512
}
# モデルを呼び出し
response = client.invoke_model(
modelId=model_id,
contentType="application/json",
body=json.dumps(payload)
)
result = json.loads(response["body"].read())
answer = result["content"][0]["text"]
print(f"Claude: {answer}\n")
上記の簡易チャットループでは、コンソールから入力した質問に対し、Claudeが回答を生成して出力します。Bedrock経由のAPI呼び出し部分は前章の説明と同様で、invoke_model
にユーザーからのメッセージを渡し、返ってきたJSONから回答テキストを取り出しています。 (aws-doc-sdk-examples/python/example_code/bedrock-runtime/models/anthropic_claude/invoke_model.py at main · awsdocs/aws-doc-sdk-examples · GitHub)
このような基礎をもとに、例えばWebフレームワーク(Flaskなど)と組み合わせてHTTP API化したり、SlackやLINEボットと連携させたりすることで実用的なチャットボットサービスを構築できます。
CursorとClineを使った効率的な開発ワークフロー: 上記のようなプロジェクトを開発する際、CursorやClineを用いることで作業を大幅に効率化できます。例えば:
- コードの自動生成とリファクタ: Cursorを使えば、「Bedrock経由でチャットボットを作るコードを書いて」とエディタ内で頼むだけで、上記のような基本コードをAIが提案してくれます。提案されたコードをベースに修正を加えたり、不明点はその場でAIに質問したりできるため、公式ドキュメントを逐一調べる手間が省けます。CursorのChat機能で「この部分を非同期処理に変えて」と指示すれば、該当箇所をasync/awaitを用いた実装に書き換えてくれるなど、リファクタリング支援も得られます。
-
Clineによる自動開発フロー: Clineを使う場合、プロジェクトフォルダを用意して「Bedrockを使ってCLIチャットボットを作成して」といった高レベルな指示を出すことも可能です。するとClineはPlanモードで必要なファイル(例えば
app.py
やrequirements.txt
)を考え、Actモードでそれらを自動生成します。さらに「実行してみて」と伝えるとターミナルでスクリプトを走らせ、エラーが出ればそれを解析してコードを修正するといったループを繰り返してくれます。最終的に人間は生成物を確認し、必要に応じて微調整するだけで済みます。 - デバッグとテスト: CursorのAuto-Debug機能やClineのエージェント機能により、エラー箇所の特定から修正提案までAIが行ってくれます。例えば実行時に例外が発生した場合、そのスタックトレースをコピーしてCursorのチャットに貼り付ければ、原因分析と解決策のコードパッチを提示してくれるでしょう。Clineであればエラー発生直後にモデル自身がログを読み、自己改善を試みます。
- ドキュメント生成: 開発後、Cursorの機能を使ってREADMEやコメントを生成することも可能です。コード全体を分析させ、「このプロジェクトの概要と使い方をREADME.mdに書いて」と依頼すれば、プロジェクトの説明文を自動生成してくれるなど、ドキュメンテーションの効率化にも役立ちます。
これらのAI支援ツールを活用することで、試行錯誤のサイクルを格段に高速化できます。人間の開発者は仕様の検討や最終確認といったクリエイティブな部分に集中し、定型的なコード記述やバグ修正の多くをAIに任せることが可能です。Claude 3.7 Sonnetの優れた理解力とコーディング能力がバックエンドで支えてくれるため、比較的複雑な要求でも的確な出力が得られやすく、プロジェクト全体の完成度向上につながります。
6. まとめと今後の展望
本記事では、AWS Activateクレジットを活用してAmazon Bedrock上でAnthropic Claude 3.7 Sonnetモデルを試す方法を解説し、さらに開発効率を高めるCursorおよびClineツールの使い方を紹介しました。Activateクレジットにより初期費用を気にせず最新のAIモデルを使える点は、スタートアップ開発者にとって大きなメリットです。 (AWS Activate クレジットについて知っておくべきすべてのこと - AWS Startups)Bedrock上で動作するClaude 3.7 Sonnetは、ハイブリッド推論による高度な問題解決能力と実用的なコーディング性能を兼ね備えており、チャットボットやコーディング支援など様々なユースケースで威力を発揮します。
Claude 3.7 Sonnetの今後の可能性: Anthropicは今後もClaudeシリーズの改良を続けていくとみられ、コンテキスト長のさらなる拡大や推論精度の向上が期待されます。特に「Claude Code」という開発者向けの新ツールも発表されており (Claude 3.7 Sonnet and Claude Code \ Anthropic)、LLMが開発プロセスに深く組み込まれていく潮流が強まっています。Claude 3.7 Sonnet自体も企業のリアルな課題にフォーカスしてチューニングされているため (Claude 3.7 Sonnet and Claude Code \ Anthropic)、今後リリースされるバージョンでも実ビジネスでの有用性が一層高まっていくでしょう。
AWS Activateクレジットの他の応用例: ActivateクレジットはBedrock以外にも幅広いAWSサービスに利用できます。例えば独自の機械学習モデルをトレーニングするならAmazon SageMakerやAWS Deep Learningインスタンスの費用に充てたり、コンピューティングリソース(EC2やLambda)やデータ分析基盤(Amazon Redshift, QuickSight)を試すことも可能です (AWS Activate クレジットについて知っておくべきすべてのこと - AWS Startups) (AWS Activate クレジットについて知っておくべきすべてのこと - AWS Startups)。近年AWSは専用AIハードウェア(TrainiumやInferentia)も提供しており、これらで独自モデルを動かす際に追加のクレジットが提供されるプログラムもあります (Get AWS Activate Credits - AWS Startups)。スタートアップはぜひクレジットを有効活用して、自社サービスに最適な技術スタックを模索してみてください。
さらなる最適化のヒント: 最後に、Bedrock+Claudeを使い倒す上でのポイントを幾つか挙げます。
- プロンプトエンジニアリング: Claude 3.7は高性能とはいえ、プロンプトの書き方次第で出力の品質が変わります。明確な指示やフォーマット指定、あるいは思考モードを切り替える指示(例えば「ゆっくり考えて答えて」など)を適切に使い分け、望む回答を引き出せるプロンプト設計を追求しましょう。
-
コスト管理: クレジットがあるとはいえ無制限ではありません。特にextended思考モードは多くのトークンを消費するため、必要な場面でのみ有効化する、
max_tokens
やbudget_tokens
を適切に設定するなどしてコスト最適化に努めましょう。Bedrockでは各リクエストのトークン使用量を把握できるので(CloudWatchログ等を活用)、定期的にモニタリングすることをおすすめします。 - 安全性とチューニング: Claudeは比較的安全性の高いモデルですが、生成結果のフィルタリングや独自の禁止トピック設定が必要な場合もあるでしょう。Bedrockは出力にAmazon側の安全ガードレールも適用できますし、必要に応じて追加のプロンプトで指示を与えることも可能です。また、Bedrockは将来的にカスタムモデルのホスティングやファインチューニング機能の充実も見込まれますので、ビジネス要件に合わせた調整も視野に入れておくと良いでしょう。
以上、AWS Activateクレジットを使ったAmazon Bedrockの活用から、Claude 3.7 SonnetそしてCursor・Clineによる開発効率化まで一通り解説しました。最新のAIモデルと開発支援ツールを積極的に取り入れることで、プロダクト開発のスピードと質は飛躍的に向上します。是非みなさんも実際に手を動かして試してみて、この強力なエコシステムを体感してみてください。今後も進化する生成AIプラットフォームを追い風に、革新的なサービスを創出していきましょう!
参考資料: AWS公式ブログ記事やAnthropic発表資料、ならびに各種ドキュメントから内容を引用しています。 (AWS Activate クレジットの申請: ステップバイステップガイド - AWS Startups)
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