GitHub Copilot usage metrics dashboardに感じるAIガバナンス
はじめに
こんにちは。イオンスマートテクノロジー株式会社(AST)でSREチームの林 aka もりはやです。
本記事はAEON Advent Calendar 2025の11日目の記事です。
今回は、2025年10月28日にPublic Previewとして公開された“Copilot usage metrics dashboard”を紹介します。
TL;DR
- Copilot usage metrics dashboardがPublic Previewとして利用可能になった
- 利用言語の割合やActive User数など、組織のCopilot活用状況を可視化できる
- AIツールの利用状況を把握することは、これからのAIガバナンスにおいて重要な一歩となる期待
- 今後の進化に、個人レベルの利用状況までドリルダウンできることを期待したい
Copilot usage metrics dashboardとは
まずはCopilot usage metrics dashboardについて簡単に説明します。
Copilot usage metrics dashboardは、GitHub Copilotの利用状況を可視化するためのダッシュボードです。Enterprise管理者およびBilling Managerが、組織全体でのCopilot活用状況を把握できるようになりました。現時点ではプレビューフェーズの新しい機能です。

具体的には以下のような情報が確認できます。
- Active Users: 実際にCopilotを利用しているユーザー数
- Code Completions (acceptance rate): コード補完の採用率や生成行数
- Chat model usage: Copilotで利用しているModelの利用状況
- Language usage per day: どのプログラミング言語でよく使われているか
これらのメトリクスを視覚的に確認できるようになったのは大きな進化です。GitHubの継続的な改善に感謝します。
Copilot usage metrics dashboardの有効化
このダッシュボードを有効化するには、Enterprise管理者による設定が必要です。How to enable Copilot usage metrics in your enterpriseより抜粋すると以下になります。
- github.comでEnterprise設定の「AI Controls」タブに移動する
- 左サイドバーから「Copilot」を選択する
- 「Metrics」セクションまでスクロールし、「Copilot usage metrics」を見つける
- Copilot usage metricsのポリシー設定を「Enabled」に変更する
これにより、EnterpriseのCopilot usage metricsダッシュボードとAPIが有効化され、Enterprise管理者およびBilling managerが利用状況と採用データを確認できるようになります。

その後スクロールして

現在足りていないと感じること
その有用性は素晴らしいものですが、このダッシュボードにはまだいくつかの機能が不足しています。
個人レベルの詳細が見えない
組織全体やチーム単位での集計値は見えますが「誰がどれくらい使っているか」という個人レベルの情報までドリルダウンできません。ライセンス管理の観点からすると、「割り当てているけど使っていないユーザー」を特定してライセンスの最適化を図りたいケースがあり、今の機能ではその用途を満たしていません。
時系列での傾向分析が限定的
組織の振り返りは1か月、4か月、半年、年の単位で行われることが多くあります。このようなロングスパンで利用状況の推移を追いたい場合、今のUIにある機能では物足りなさを感じます。
スクリーンショットのように7, 14, 28 daysの3択しかなく、「導入から4か月でどれだけ浸透したか」あるいは特定の週の利用状況といった分析はできません。

利用言語の解像度の低さ
言語の粒度についても疑問があります。下記スクリーンショットの通り、「Other Languages」の割合がかなり大きくなっています。実際にGitHub Copilotを率先して利用しているチームのひとつに私たちSREチームがありますが、私たちが多く書くTerraformやYAML、Markdownなどはすべて「Other Languages」としてまとめられてしまっているようです。
私たちの観点からはTerraformやKubernetesのマニフェスト(YAML)でどれだけCopilotが活用されているかを把握したいところですが、その詳細が見えません。TypeScriptやPythonといったメジャーな言語は個別に表示されるのに対し、IaC系の言語が重視されていない印象を受けます。

ダッシュボードの活用方法
上記のように多少の不足点をあげつつも、このダッシュボードはAI利用のガバナンスの第一歩として活用の価値があります。私たちのチームでは以下のような使い方を検討しています。
定期的な利用状況のモニタリング
定点観測を続けることは新たな気づきを生みます。月次でダッシュボードを確認し、Active User数の推移をウォッチします。当社のGitHub Copilotライセンスは希望者のみに付与しています。しかしながら導入したものの使われていない、そんな状況を早期に検知できるのが嬉しいポイントです。
言語別の活用状況から施策を検討
たとえばTypeScriptでの利用率が高くPythonでの利用率が低い場合、「Python向けのCopilot活用Tips共有会」を開催するといった施策につなげられますし、社内の多くのプロダクト・チームに対して横断的に組織の状態を伝えられます。
投資対効果の説明材料として
GitHub Copilotはユーザライセンスでの課金です。当社は定期的なコスト最適化の取り組みを継続的に行っています。AIの活用推進を掲げる一方で不必要なライセンスは正すべきです。また経営層への報告時に、「これだけのユーザーが日常的に活用しています」との定量的なデータを示せる点も魅力的です。
GUIでは取得できない詳細はCopilot Metrics APIを利用する
ダッシュボードで提供される情報だけでは物足りない場合、Copilot Metrics APIを活用することで、より詳細なデータを取得できます。
APIで取得できる情報
Copilot Metrics APIを使うと、以下のような詳細なメトリクスを取得できます。以下はドキュメントから引用し日本語に意訳したものです。
- 過去100日分のデータ: GUIの最大28日間に対し、APIでは100日分のデータにアクセス可能
- Active UsersとEngaged Usersの内訳: より詳細なユーザー分類
- 言語別・IDE別の内訳: 各プログラミング言語やエディタごとの利用状況
- Enterprise/Organization/Team単位での取得: 階層ごとの柔軟なメトリクス取得
GUIとAPIの比較
GUIとAPIの違いを表にまとめたものが以下です。APIの柔軟性が明確になります。
| 項目 | GUI(ダッシュボード) | API |
|---|---|---|
| データ期間 | 最大28日間 | 最大100日間 |
| 時系列分析 | 7/14/28日の3択のみ | 日単位で柔軟に取得可能 |
| データ加工 | そのまま表示 | 自由に加工・分析可能 |
| 外部連携 | 不可 | BIツールやスプレッドシートへ連携可能 |
APIの活用例
より柔軟性の高いAPIを活用することで、GUIでは実現できない以下のような分析が可能になります。
- 複数月にまたがった月次レポートの自動生成: 100日分のデータを使った長期トレンド分析
- カスタムダッシュボードの構築: New RelicやBIツールなどへのデータ連携
- アラート設定: 利用率が一定以下に落ちた場合の通知
このような違いからGUIのダッシュボードはクイックな状況確認に、APIはより深い分析や他システムとの連携に、それぞれ使い分けることができます。
ユーザの希望としては手軽なGUIのダッシュボードがより柔軟に機能拡張されていくことですが、あらかじめ柔軟性のあるAPIが用意されている点はさすがはGitHubでしょう。利用するこちらの腕が試されますね。
おわりに
以上が「GitHub Copilot usage metrics dashboardに感じるAIガバナンス」でした。
日進月歩で進化するAIツールの導入は「入れて終わり」ではなく、継続的に利用状況を把握し改善していくことが大切です。今回紹介した「GitHub Copilot usage metrics dashboard」は、まさにそのための土台となる機能だと感じています。
まだPublic Previewの段階で機能が不足している点もありますが、今後さらに機能が拡充されることを期待しています。とくに個人レベルの詳細や、より柔軟な時系列分析ができるようになると嬉しいです。
それではみなさま、Enjoy GitHub Copilot!
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