CTOとして、継承の重要性と退く覚悟の話
メリークリスマス。今年もアドベントカレンダーを寄稿させていただきます
イオン株式会社CTO / イオンスマートテクノロジーCTOのやまけん( 山﨑賢 )です。
この記事は、AEON Advent Calendar 2025 最終日の記事です。
過去の私のAdvent Caledar投稿記事はこちら。
今回は継承や委譲の重要性を語ってみます。
イオンに入社してそろそろ3年。 割と仕事にも慣れてきて、社内/社外に認知も一定広がり、社内で色々な事がスムーズにやりやすくなった今、これこそが危険な状態への入口だと考える自分への、そして同じ状態に陥っている同士への警鐘です。
ちなみに、今スグCTOやめるぜ、とか、イオン退職するぜって話ではないのでご注意を。
ポジションの罠
キーマンという名の門番

おそらく、多くの会社においてキーマンは存在するでしょう。
それがスキルベースのキーマンなら良いのですが、ポジションベースのキーマンは危険性を含みます。
- あの人に事前に相談しておかないと、承認されないよ
- この案件は、あの人が嫌いなやつだから荒れるだろうなぁ
- とりあえず、あの人とは一回飲みに行っておいたほうがいいよ
属人化したポジションは時間が経つと、それ自体が権威的になり、論理的な正しい判断以外に「キーマン」という個性を攻略することを必要とされる意味わからんゲームに突入します
なんか、仕事のためのプロセスが本質じゃないってこと、良くありませんか?
調整のための調整
決裁のための本質的でないネゴシエーション とかね。
自分の実力とポジションの持つ力の誤解

長らく重要なポジションに居ると、あたかもそれが自分固有の能力なのだと誤認することがあります
そのポジションに着いたのは自身の実力だったとしても、そこに長く居ることによって心地よさが膨れ、ポジションが持つ権威(影響力、決裁権など)の為に頭を下げてくる多くの人に対して、優越を感じる人も多いかと思います
定年退職した途端に社会と馴染めない管理職。っていうストーリーが表しているように、すごいのはポジションであり、人が頭を下げるのも個人ではなくポジションに対してであり、そこを混在すると前述した門番化というモンスターが出来上がります
わたしのストーリー

実は私も同じ罠に陥った経験があります そう実は私も過去にモンスター化しちゃった
とある大企業で要職についていたとき、多くのベンダーなどから声を掛けていただき、色々な提案をもらって上機嫌な時期がありました 別の表現で言うとエラソーな時期
ただ、数年後気づいたんです。 皆がニコニコしてるのは俺のことが好きなんじゃなくて、このポジションの権威と、行使できるお金なんだって。 気づくのおせーよって感じですが。
その時、わたしはそのポジションを捨て、一番ポジションとは無縁そうなベンチャーに転職して、自分自身の傲慢さをリセットすることを決意しました
継承

継承の重要性
ポジションは適切にローテーションされるべきです
どこかっていう特定は避けるけど、独裁的な政権は腐敗し、政権の目的は個人のポジションと権威の維持にすり替わります
政治を志した際の純粋な想いや、ポジションに至るまでの無数の努力は、いつか権威にまみれて腐敗していく
それを避けるためにも、権威の継承はアポトーシスのように、権威を持っている者自体が常に、且つ積極的に考えなければならないことです
私も、柄にもなくCTOっていう立場をやっていますが、常に継承を考え具体的なアクションとしても動いています
同じ企業で10年CTOやってます!とか聞くと、「あぁ、世代交代出来ない環境なんだな」と残念に思います
自分は自分で違うポジションを開拓すればいいだけ。
継承の誤解
何かを継承する際に、その継承先を自分の能力をベースラインとして考えがちです
「俺の仕事は、これとこれで、俺の能力はこうだから、これを引き継げる先は・・・・いねえじゃん!」
みたいなね
これこそが継承の誤解です
人間の能力なんて、それこそ多様性と個性の集合体であり、自分の能力をカバー出来る人を継承対象者として定義するのはナンセンスです
自分を模倣する人にポジションを譲って何が進化しますか?って話
むしろ、自分には無い要素を持っている人に勇気を持ってバトンを渡して変化を促すべき
会社も組織も生き物。 覚悟をもって継承すれば組織はそれを補完していくし、継承対象者の能力も補完的に広がっていくと信じてます
役割を分割するのも良いアイデアだと思う
ポテンシャルを信じて覚悟をもって継承をし、その後の組織と個人の変化とイノベーションを期待する!
何かあったら自分が支える。そういう覚悟。
CTO/エンジニアとしての継承

特に専門職はやっかいです
ポジション自体がスキルで定義されるので、スキルベースで議論しがちです
CTOなら、インフラも詳しくて、プログラムにも明るくて、ビックデータにも明るくて、組織もまとめられて、経営としての素養もあって、外部への発信能力もあって・・・・ どんな超人だよ
短期的にはそういった人がポジションを牛耳るのは正解かもしれません
ただしそれは、長期的には人の成長を阻害し、会社の変革を阻害し、会社自体のビジネスを阻害していくはず
退く覚悟
自分は自分。「自分==CTO」ではない
私は「山﨑賢」っていう一人の人間であり個性です
エイリアスとして「イオンCTO / イオンスマートテクノロジーCTO」っていうラベルが付いていますが、それはポジションであって俺そのものではない
そして、ポジションではなく自分にフォーカスを置いた場合、自分の成長には「強制的な変化」が必要だと考えます ポジションにあぐら書いてると成長しねーぞってこと
3年ってのは、私にとっての1つの基準です
自分のポジションを継承し、自分は新たな役割を目指していくことを考えるタイミングです
退く覚悟
自分がポジションをどのように委譲するかは、3年を目処に常に考えるようにしています
そのために誰に、もしくはどんな人達に、どのように継承していくか、委譲していくか
それを公言し、メンバーにも相談し期待値を調整し、下から突き上げを積極的に促しています
その覚悟と行動こそが、組織の代謝を促しメンバーの自立性を後押しし、変化を受け入れる組織へと変わっていく
退くってのは後退じゃない 自分自身も進化するために心地よい場所から脱出するってこと
最近強く意識していることを、ポエム的に書き殴りました
ただ、結構大事なことだと思うんだよね。
みなさんが年末年始、自分自身が権威化してないか振り返って見る機会になると嬉しいな
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イオングループでは、エンジニアを積極採用中です。少しでもご興味をもった方は、キャリア登録やカジュアル面談登録などもしていただけると嬉しいです。
皆さまとお話できるのを楽しみにしています!

Discussion
とても興味深い内容で、一気に読んでしまいました。
継承の重要性や潔く退く覚悟をここまで率直に語るCTOは珍しく、その姿勢には素直に感嘆します。
ただ、CTOという役割は本来、10年先の技術潮流や外部要因を読み、その変化に組織が適応し続けられるよう“順応できるDNA”を根付かせることが最も重要だと思っています。
技術の定着や文化の継承は属人化を生みやすく、極めて困難です。
だからこそ、属人化を避けて変化に耐えられる組織を作るためには、理想として組織全体が“CTOとしてのものの見方”を共有できる状態を目指す必要があると考えています。
もし組織がそこまで成熟し、変化を吸収できる盤石さを持てているのであれば、“どうやって組織自体がCTOになれる状態を作ってきたのか”という部分こそ知りたいと感じました。
語れない領域がある事情があるのかもしれませんが、個人的には、継承や引き際の話以上に、「CTOとして何を見続けてきたのか」「未来をどう捉えてきたのか」という視点も伺ってみたいと感じました。
そうした話があれば、読者としてはより考えさせられる内容になるように感じました。