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「空気」を読むデザイン、「事実」で語るデザイン。ハイコンテクストとローコンテクストについて

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Webデザインを制作する際、アクトビではまずデザインの言語化に必要な「コンセプト設計」からスタートします。
その過程で数多くのWebデザインを分析していく中で、Webデザインにも「ハイコンテクスト」なものと「ローコンテクスト」なものがあると気づきました。

ターゲットに「空気感」で伝えるのか、それとも「事実」で伝えるのか。
今回はこの2つの視点から、デザインがユーザーに与える影響や使い分けについて、自分なりの分析をまとめてみたいと思います。

ハイコンテクストとローコンテクストの違い

そもそもこの両者にはどのような違いがあるのか、その特徴を整理してみました。

💡ハイコンテクストについて

ハイコンテクストとは、受け手と送り手の間に「共通認識(コンテクスト)」がすでにある前提で成り立つコミュニケーションの状態を指します。
言葉にしなくても「なんとなく伝わる」「ニュアンスで感じる」のが特徴です。
「空気を読む」や「行間を読む」などハイコンテクストを指す日本語は多々あります。

💡ローコンテクストについて

対するローコンテクストは、背景の共有が少ない前提で「言葉や形そのもの」にすべての意味を込めるスタイルです。
多民族国家や移民の多い地域では、言葉や前提条件がバラバラなため「言わなきゃ伝わらない」のが当たり前な環境です。
結果として非常にロジカルでストレートな表現になります。
「誰が・何を・どう解決するか」を1ミリの誤解もなく、受け手の解釈に頼らないのがローコンテクストなアプローチです。

デザインに置き換えると...

💡ハイコンテクストなデザイン

ブランドの「らしさ」や「空気感」を優先するスタイルです。

■ 特徴
ビジュアル優先で世界観や空気感を伝える
■ 狙い
答えをすべて提示せずにユーザーの想像力や感性に訴えかけ、サイトを見た後に読後感(イメージ)を残すことが狙い
■ 事例
高級ブランドやホテルのサイト

ハイコンテクストなデザインは、空気感からユーザーに「想像」をさせます。
企業やブランドが具体的に目指す先を明示化するのではなく、ブランドイメージの「佇まい」や「気配」をビジュアルに宿して語られざる哲学を直感的に伝えます。

💡ローコンテクストなデザイン

ブランドの「機能性」や「利便性」などの「事実」を最優先するスタイルです。

■ 特徴
テキストや構造を優先し、論理的かつ具体的にメリット(ベネフィット)を伝える
■ 狙い
ユーザーの疑問に即座に答え、迷わせることなく次のアクションへ導くことが狙い
■ 事例
SaaS、ECサイト、B2Bの業務支援ツール、ニュースサイト

ローコンテクストなデザインは、ユーザーに「推測」をさせません。
企業やブランドが具体的に目指す先を明示化し、それを実現するための技術要素をロジカルに並べているパターンなどがあります。

ハイブリッドという考え方

ここまで両者の違いを見てきましたがどちらか一方が正解というわけではありません。
Webサイトを作る目的に沿った手法を取ることが正しい選択となります。
また、どちらか一方に偏らせるだけでなく、ローコンテクストとハイコンテクストを掛け合わせたハイブリッドなWebサイトも存在します。

その実例として、自社(株式会社アクトビ)のサイトを「コンテクスト」の視点で分析してみました。
https://actbe.co.jp/

自社サイト(アクトビ)に見る、情報の出し分け

株式会社アクトビのコーポレートサイトは、事業開発から業務改善まで多角的な支援を展開する事業特性に合わせ、ビジネスに不可欠な「論理的な正当性」と、組織思想である『Purpose Driven Tech-Integrator』を体現するプロフェッショナルな世界観の両立を追求した設計となっています。

💡ローコンテクストなポイント

アクトビのコーポレートサイトのベースはローコンテクストな情報設計です。
曖昧な表現を排除し、ユーザーへ提供価値を誤解なく伝える設計を行っています。

『Purpose Driven Tech-Integrator』という組織思想を起点に、TOPページでは事業内容から技術的な裏付けとなるClients(実績)、そして知見を共有するConference(イベント、テックブログ)を構造的に配置しています。
そして、その構造の中で何を行いどのような価値を出す会社なのかを具体的に言語化しています。

例:TOPページのConferenceセクション

自社の思想や行動基準を細部まで明文化することで、ユーザーの推測に頼る部分を最小限に抑えました。これにより、ユーザーが抱くアクトビ像の解釈を統一することを狙っています。

💡ハイコンテクストなポイント

一方ですべてを言葉で語るのではなく、非言語的なコミュニケーションを通じてブランドの「質」を直感的に悟らせる演出を組み込んでいます。

技術者集団としてのプロフェッショナルさを印象付けるための大胆なアニメーションやデザインを採用しています。

例:TOPページのメインビジュアル

これらは「語らずとも伝わる技術力」を表現するハイコンテクストな装置として機能しています。

ローコンテクストな構成に対してこうした情緒的な演出であるハイコンテクストな要素と合わせることにより、情報の理解だけでなく一貫したブランドイメージを深く印象付けています。

まとめ

世の中には様々なコンテクストの濃度のWebサイトがあります。
分析の対象を広げ、国内のサイトと海外のサイトを見比べてみてもまた違った発見ができそうだと思いました。

Webサイトを作る際もサービスが空気感で伝えるべきハイコンテクストなのか、あるいは言葉で尽くすべきローコンテクストなのか。
目的に合わせてコンテクストの濃度を意識することで、「なぜこのデザインなのか」という徹底した言語化の役にも立つと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

株式会社アクトビ

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