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Tech Explorersの紹介 第1回: 2025年の勉強会事例

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はじめに

アクセンチュアの技術勉強会 "Tech Explorers" の活動について以下の記事でご紹介しました。
まだこちらの記事をご覧になってない方は、ぜひ先にご覧になったうえで本記事を見ていただければと思います。
https://zenn.dev/acntechjp/articles/b2480fed938c90

本記事ではその続編として具体的な発表内容をご紹介しますが、第1回としてまずは昨年の2025年に実施した勉強会のテーマを振り返り、その中から一例として「WebAssembly(WASM)」をテーマにした発表内容をご紹介します。

2025年の主な勉強会テーマ

2025年も多種多様なテーマで調査・発表を行い、月次の勉強会として継続的に実施しました。
取り扱ったテーマをいくつか抜粋すると以下のような発表がありました。

テーマ 主な調査・発表内容
TLS TLSのバージョンや暗号化アルゴリズム、ハンドシェイクの仕組み、脆弱性事例
分散トランザクション / 分散システム 分散トランザクションの実装パターンや比較、クラウドやNewSQLで使われている技術
分散合意アルゴリズム Paxos、Raft、Web3などの技術で使われている合意アルゴリズムの特性、トレードオフを整理
仮想化技術 / コンテナ / WASM 技術の裏側、性能への影響、アプリ・インフラそれぞれの観点での採用メリット、ハンズオン
AIコーディングエージェント / Cline Clineをはじめとするコーディングエージェントの比較や大規模開発における考察
ロボティクス / dora-rs ロボット開発の市場分析、ソフトウェアの歴史、dora-rsのデモや事例
Databricks / ベクトル検索 / RAG 開発の歴史やData AI分野での立ち位置、データレイクハウスのアーキテクチャ、ベクトル検索やRAGでの利用

この他にも複数のテーマを扱っており、参加したメンバーの興味関心の広がりが反映された一年でした。

テーマ事例 WASM

ここからは、2025年6月に実施した発表を例にご紹介します。テーマは「WebAssembly(WASM)」です。

WASMをテーマに選んだ理由

このテーマを選んだ理由は、この前の発表のテーマにコンテナを取り上げた際にいただいたフィードバックにあります。
「Dockerだけではなく、VM・Docker・WebAssemblyと、仮想化技術を俯瞰するとさらに深みが出る」というコメントをきっかけに、WASMに興味を持ちテーマとして扱うことに決めました。

WASMとは

WASMはブラウザ上で動作するバイナリ形式の低レベル命令セットで、ネイティブに迫る速度で動作する点が特徴です。
C/C++、Rust、GoなどがWASMへのコンパイルに対応しており、JavaScriptと共存して計算集約的な処理を担うことを想定して設計されています。

技術的には、

  1. プラットフォーム非依存の仮想マシン上で動く高速・ポータブルな実行形式
  2. バイナリ(.wasm)と人間可読なテキスト形式(.wat)が1対1対応
  3. サンドボックス化された安全な実行環境
  4. JavaScriptを置き換えず連携して拡張する

といった4つの設計思想に支えられています。
2015年に主要ブラウザベンダーで正式に仕様策定と開発が始まり、2017年に主要ブラウザでサポート開始、2019年にW3C勧告として公式に承認されました。
事例としてはUnityなどのブラウザベースのゲーム、Amazon Prime VideoやDisney+などのマルチデバイス対応の動画配信アプリ、CapCut WebやFigmaなどのメディア編集といった「重たい」処理のサービスでの事例が挙げられます。


発表資料抜粋: 2. WebAssemblyとは

使い方とベンチマーク

発表の中盤では、WASMの使い方や実際に動かして性能を比較を行った結果を発表しました。
Emscripten SDKをインストールし、C++で書いたコードをWASMにコンパイルしてJavaScriptから呼び出すという流れです。
フィボナッチ数列の計算では、計算量が大きくなるほどWebAssemblyのほうが優位になることを確認。さらにファイル圧縮(約600MBのファイルをC++のzlibとJavaScriptのpakoで比較)でも、同等の圧縮率を保ちつつ処理時間がWASMのほうが速いという結果が得られました。
C/C++の既存ライブラリ資産を活用できるのは大きな強みである一方、GCがないためメモリ管理は開発者の責任、といった制約も実感できる検証でした。


発表資料抜粋: 4. WebAssemblyの性能比較

サーバサイドでの利用と考察

発表の後半では、ブラウザ上でWASMを実行するだけでなく、サーバサイドの活用にフォーカスしました。
WASI(WebAssembly System Interface) を介すことでサンドボックスを保ったままOS機能を呼び出すことができ、AWS Lambda上のPythonからWASMのバイナリを呼び出す検証を実施。
計算量が小さい範囲ではランタイム呼び出しのオーバーヘッドのほうが大きくPythonで直接処理した方が速い一方、計算量が増えるとWASMが大幅に高速になることを確認しました。
ここから議論したのは「サーバサイドでのWASMの真のメリットは何か」という点です。
処理高速化やセキュリティ向上はコンパイル型言語への書き換えやサーバレスアーキテクチャでも一定代替可能であり、注目すべきは 「軽量かつポータブルな仮想環境である」という性質そのものではないか というのが発表チームの結論でした。
ブラウザ / サーバ / IoTデバイス / モバイルなどで同一のWASMモジュールを動かせる点にこそ独自性があり、AIの発展とIoT機器の増加を背景にしたユースケースを考察しました。


発表資料抜粋: 5. WebAssemblyをサーバサイドで使ってみる

まとめ

本記事では2025年に実施した勉強会のテーマ概要と、その中の一例としてWebAssemblyの発表をご紹介しました。
「自由に学び、チームで共有し、フィードバックで成長する」勉強会だからこそ、暗号化・仮想化技術・分散システム・AI・データ基盤・ロボティクスなどさまざまな幅広いテーマでの発表があったのだと感じています。
2026年も勉強会を実施中ですので、どのような発表があったかはまた別の記事でご紹介できればと思います。

Accenture Japan (有志)

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