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個人×AIで、100人規模・新聞掲載のAIイベントを作った話──自己増殖・相互循環する「札幌すごいAIまつり」の設計

に公開

はじめに

私は個人で、「札幌すごいAIまつり」というイベントを2月15日に開催しました。
ビジコン・芸術祭・LT会・展示体験会を含めた、AIの総合フェスです。
札幌で100名を動員し、その模様は北海道新聞でも取り上げていただけました。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1275684/

この記事では、札幌で開催した「札幌すごいAIまつり」の舞台裏を通して、

  • なぜこのイベントが「単発で終わらない設計」になっているのか
  • AIを使うことで、個人がどこまで役割を引き受けられるのか

という2点を解説します。

先に結論を書くと、

  • AI体験は「自己増殖」と「相互循環」で設計できる
  • AIを使うことで、個人でも「小さな組織」として振る舞える

という話です。ここからは、その設計と実装、そして思いを、順を追って紹介していきます。

1. 札幌のAI体験「自己増殖と相互循環」

今回、私が作って公開したものは次の5つです。

今回作ったものは、大きく分けると次の役割を持っています。

  • 【学ぶ】すごいAI道場
  • 【つながる】札幌すごいAI会Discord
  • 【集まる】connpassの札幌すごいAI会
  • 【知る・挑戦する】まつり公式ウェブサイト
  • 【次へ進む】まつりのあとウェブサイト

そして、これらを自己増殖・相互循環の構造で回していきます。

1-1. 自己増殖

ここで言う「自己増殖」とは、
誰かが勝手に広めてくれる状態を、最初から設計することです。

まずはこれら全てのサイトを、可能な限り全て「無償・拡散自由・登録不要」な形で公開します。この仕掛けで、先ほどのいずれかのサイトを知った方が、このような心理で動けるようにします。

  • 無償ならちょっと触ってみてもいいかな、学んでみようかな
  • 知り合いに「これいいよ」って教えてみようかな

そして、これらのうち、私と交流があった人向けに、「スライド作りならこれ」「イベントはこれ」のように紹介しています。

この動きを総合して、札幌で「AI学習してみようかな」「これいいよ」という熱が、自発的に広がるように設計しています。これが、私の考える「自己増殖」です。

1-2. 相互循環

「相互循環」とは、どこから参加しても、学びと次の行動に自然につながる構造のことです。

先ほどの5つのサイトは独立したものではなく、相互にリンクを張り合って、「あらゆる経路がDiscordに流入し、Discordから様々なイベントに流出していく」という構造を作っています。

この図のイメージです。

どこかのサイトを接点にして、Discordへ入る。Discordで日々の学習を発信してみて、Discord経由でイベントを知って参加する。

そして、それらの集大成として、半年に1回定期的に行われるAIまつりで発表のチャンスがある。これも誰にでも門戸が開かれています。そしてAIまつりで「札幌すごいAI会」や「AI自体のワクワク」を新たに知った人が、まつりで持ち帰った火種とともにDiscordに入る。

こうして、様々なサイトやイベントが、Discordを中心に循環して増えていく。これが「相互循環」です。

さて、このように「自己増殖と総合循環」で設計したイベントですが、それを作り上げるのを実は一人でやっていたんです。それを次の章でお話ししましょう。

2. AIによる個人の能力拡張

端的に言うと、一人で「イベント会社+クリエイティブ制作会社+教育機関+パフォーマー」みたいなことをやっていました。

結果的に、一人50役になりました。膨大ですが、参考として表を載せておきます。

ちなみにこれらは、始めから1個1個整理してやろうと思っていたわけではないです。
「あれ、これも必要じゃん、ChatGPTこれどうやればいいんだ?」
「あれ、これもやりたい、ChatGPTちょっと壁打ちしてくれ」
というふうに、必要になったら即AIで知識を拡張することによって生み出された役割群でした。
たぶんスタートアップ社長の動きと同じだと思います。必要なもの全部やっちゃう。

※「全部読まなくてOK」です。「イベントって、裏でこんなに役割があるんだな」と感じてもらえれば十分です。

一人で実際にやったこと一覧

No. 大項目 小項目 詳細(何をやったか)
1 総合プロデューサー イベント思想の定義 「AIは魔法ではなく拡張器官」「免許不要・非営利・開放」という全体思想を明文化
2 総合プロデューサー AI表現の線引き設計 誇張・神格化・誤解を避けるための見せ方ルールを決定
3 総合プロデューサー 企画横断の文脈統合 映画・展示・LT・ビジコンが同一世界観に収束するよう調整
4 総合プロデューサー 最終クオリティ判断 出す/出さない、やる/捨てるの最終意思決定を担当
5 AIプロジェクトマネジメント 全体タスクの洗い出し 制作・運営・広報・当日対応を含む全作業を棚卸し
6 AIプロジェクトマネジメント 優先度の動的切替 期限に応じて「完成度より成立」を優先する判断を実施
7 AIプロジェクトマネジメント 品質の見切り判断 完璧主義を避け、80点で止める基準を運用
8 AIプロジェクトマネジメント 個人リソース配分 体力・集中力・時間を日単位で再配分
9 AIプロジェクトマネジメント 当日トラブル即応 想定外事象に対し現場で即断即決
10 AIコンテンツ制作統括 AI映画の制作 企画・脚本・生成・編集までをAI込みで一貫実施
11 AIコンテンツ制作統括 AI音楽の制作 情緒設計を含むBGM・音楽生成を実施
12 AIコンテンツ制作統括 ビジュアル素材の生成 KV・展示用映像・静止画をAIで生成
13 AIコンテンツ制作統括 説明用スライドの生成 教育・解説用スライドをAIで制作
14 AIコンテンツ制作統括 生成物の最終編集 各生成物を人間判断で統合・編集
15 AI実演・パフォーマンス 身体表現による実演 刀・尺八など身体表現とAI生成物を組み合わせて実演
16 AI実演・パフォーマンス 演出タイミング制御 映像・音・動作の同期を設計
17 AI実演・パフォーマンス 観客体験の設計 理解より没入・惹きつけを優先した体験設計
18 AI実演・パフォーマンス ライブ即興対応 会場の空気に応じて演出を調整
19 AI教育・解説デザイン 専門用語の翻訳 AI用語を初学者向けに噛み砕いて説明
20 AI教育・解説デザイン 誤解防止の線引き説明 できること/できないことを明確化
21 AI教育・解説デザイン AIツール実演解説 NotebookLM・ChatGPT等を用いたデモを実施
22 AI教育・解説デザイン 対象別説明調整 高校生・一般・技術者向けに説明粒度を調整
23 AIイベント企画・運営設計 複数企画の同時設計 展示・芸術祭・ビジコン・LT会を並列に設計
24 AIイベント企画・運営設計 会場導線の設計 観客が迷わず回れる動線を設計
25 AIイベント企画・運営設計 タイムテーブル設計 破綻しない進行スケジュールを構築
26 AIイベント企画・運営設計 当日運営構造の設計 一人運営に見えない役割配置を構造化
27 AIコラボレーター招集・共創設計 出演者・展示者の個別招集 技術者・アーティスト等に直接声かけ
28 AIコラボレーター招集・共創設計 参加ハードルの明示 各イベントにおけるルール作成と「ここまでやってOK・NG」という範囲を提示
29 AIコラボレーター招集・共創設計 主役バランスの調整 自分が前に出すぎない立ち位置を調整
30 AIコラボレーター招集・共創設計 共犯関係の空気づくり 一緒に作っている感覚を醸成
31 AIコミュニティ/継続構造設計 次アクション導線の設計 Discord・AI道場への接続を設計
32 AIコミュニティ/継続構造設計 担い手化の余白設計 参加者が主催側に回れる余地を用意
33 AIコミュニティ/継続構造設計 他都市展開の抽象化 再現可能な構造として整理
34 AI広報・対外発信 記事・SNSでの言語化 Zenn・SNSでイベントの意味を発信
35 AI広報・対外発信 メディア向け文脈整理 北海道新聞など外部向け説明を実施
36 AI広報・対外発信 モデルケースとしての物語化 個人×AI能力拡張モデルとして提示
37 AI広報・対外発信 資金調達のための広報設計 クラウドファンディング用の文脈・価値説明を設計
38 AI広報・対外発信 協力企業とのコミュニケーション 協力企業への説明・調整・対応を実施
39 AIツール統合・ワークフロー設計 AIツール役割分担設計 各AIツールの得意分野を整理
40 AIツール統合・ワークフロー設計 制作パイプライン構築 生成→選別→編集の流れを確立
41 ITエンジニア ウェブサイト要件定義 AIまつり/AI道場/まつりのあと各サイトの目的・対象・役割を定義
42 ITエンジニア ウェブサイト設計 情報設計・導線設計・更新前提の構造を設計
43 ITエンジニア AIまつり公式サイト開発 イベント公式サイトの実装・公開・運用を担当
44 ITエンジニア AI道場の開発 学習導線を意識したAI道場サイトを設計・実装
45 ITエンジニア 「まつりのあと」サイト開発 イベント後の記録・循環用サイトを設計・実装
46 ITエンジニア ウェブサイト動作テスト 表示崩れ・リンク切れ・スマホ対応などを事前に確認
47 ITエンジニア 本番前リリース確認 公開タイミング・当日アクセスを想定した最終チェック
48 AI講師 AI道場コンテンツ設計 AI道場内の学習コンテンツを全て設計・制作
49 AI講師 教材動画の撮影 YouTube向け教材動画を自ら撮影
50 AI講師 教材動画の編集 撮影した動画を編集し、視聴可能な教材として仕上げ

要するに、

  • 思想決定
  • 制作
  • 運営
  • 教育
  • 広報

という、本来なら複数人・複数組織でやる役割を、
AIを使って一人で並列処理していました。

で、全てを流用・再現可能にした。

今回作ったものは、すべて「一度きり」で終わらせていません。
意図的に、流用・再現・拡張できる形で作っています。

  • 公式サイト、まつりのあとサイト→作りきったので、あとは画像など差し替えて流用するだけです。
  • AI道場→いつでも使える・拡張できる状態です。
  • connpass→まつり後にもイベントを月1くらいでやってます。
  • Discord→サーバを管理しつつ、じわじわ伸びて150名を越しました。
  • 広報や協力会社ルート→今回得たものを流用しつつ、次回拡大します。
  • 出演者→今回の人にまた出ないか声掛けしつつも、次回も人集めを頑張ります。

3. なんでこんな代物を1人で作れたの?

正直に言うと、理由はシンプルです。やったら絶対楽しいと思ったからです。
でも、札幌ではその「場」がなかった。だったら、自分で作った方が一番早いし、一番楽しい。

そしてもう一つ。息子が生まれました。今、札幌にAIを使える大人が増えたら、それはそのまま、息子の生きる未来の選択肢になります。そのためならパパなんでもやっちゃうぞと。

まとめ

この取り組みは、札幌だけの話ではありません。

  • AIは個人の能力を拡張できる
  • イベントは単発で終わらせなくていい
  • 学びと場は、自己増殖・相互循環で育てられる

この構造は、どこでも再現できます。
なので、次はあなたの住む街で、誰かがAIまつりをやり始めるかもしれません。

一緒に、楽しく増やしていきましょう。

Accenture Japan (有志)

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