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プロジェクト管理についてふんわりメモ

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こちらのnoteの記事が話題みたいでなんとなく目に入ってきた。

スライド作り一点でここまで語ってしまうこの人はすごいなあ、弊社の卒業生とか色んなところでさらなる活躍をしている人も多くて、ほんとすごいなあ、と尊敬の念で押しつぶされて鬱になりそう。

これとあまり関係ないけど自分もアクセンチュアに長くいて、自分なりに身についたというか、今後のキャリアや、食うのに困ったときに役に立ってくれそうだなと思ったのが、プロジェクト管理のスキルだと思っていて、ちょっと普段思っていることを言語化してみるのもいいかと記事にしてみる。

プロジェクト管理にまつわる現実

スキルとしての測りづらさ

私は、誇らしいのか恥ずかしいのかよくわからないが、新卒から長くアクセンチュアに在籍して、額に汗して働いてきたけど、最初はSAPという大企業向けのパッケージシステムに関するエンジニアみたいなところからユーザサポートなんかも経て、周辺で起きる大小のプロジェクトに関わってきた。

どちらかというと、いわゆるSubject Matterの人だった。

得意としていたのはシステムの機能や基盤の設計管理の専門的な知識。加えて、製造業などのお客様企業の業務とそのプロセスや組織をきちんと分析するということをコツコツ経験して、トラブルだったり法改正対応だったりという事業変化に追従する仕事を確実にやり切るっていう場面を多くこなした。

そんな中で、プロジェクトや組織でちょっと遠くにいる、いわゆるPMOという人たちも多く、横目で見てきた。

彼らがやっていることの**すごさ(価値)**って非常に定量化も言語化も難しい。とても測りづらいのだが、明らかに、

  • 上はこの人がおらんかったらプロジェクト破綻してるやろという1000人に1人の逸材PMOみたいな人
  • 下はパートの主婦でもいいんじゃないかっていうくらいのピュアな作業者

のように幅広い人がいた(社員に限らずパートナーや色んな属性の人を含めて)。

ケースとしては、事務派遣で調達したPMO事務の人が、人員と予算管理、パワーポイントの進捗資料などなど、任せたらなんでもこなすぞ??という人だったりして、紹介予定派遣などのプロセスを経て気がついたら正社員登用されて直採社員と見分けがつかなくなっている、みたいなことすら例としては存在する。

私は強く思う。人のCVなんかに「PMO経験、X年あり」と書いてあっても、全くわからんと。

すごい人かも知れない。逆に、何もできないからPMOしかしてこれなかった人かも知れない。

PMOって難しいのか簡単なのか

新卒や経験者含めて、私もたまに偉そうに面接官をしたりする。

弊社についてちょこちょこキャリア制度についての質問があって、社内では常にたくさんのロールやポジションが募集されてて、応募すれば色んな仕事にチャレンジできる・・・みたいなのは本当ですか?という。これはマジ。本当にそうで、私はどっちかというと募集を登録して社内の人の応募をチェックしてアサインの判断をしたりする立場が圧倒的に多いが、本当にちゃんとこれは運営されている。

で、PMOポジションの募集というのもあるのだが、難しそうな専門知識がいらない事務仕事っていう暗黙のイメージは、やはりありそうな気がしている。

本当はとっても難しくてやり甲斐のある仕事なのに、「小売業界の物流最適化のためにAIとビッグデータを扱ってXXXというソリューションのチューニングを行うため、AWSとtypescriptでの開発がバリバリの人、来てください」みたいな募集に比べると、なんとなく「敷居が低そう」って見える。

進捗管理、会議設定、会議資料作成、各チームへの納期のリマインド、Excelを使っての色々な管理、そして人が入ったり出たりする際の手続きや総務的な調整っていう、ジェネラルなスキルがあればなんとかできるというイメージから来ていると思うけど。

本当にそれでいいのか、と。

「で、どうするんですか」

プロジェクトマネジャーというのを、大きいのも小さいのも何度かやってきて思ったこと。

プロジェクトマネジャーにもPMOにも、そのプロジェクトを成功させる意志を持って、そのために何ができるかを必死で考え続けるような、理想的な管理チームができていることは、なかなか当たり前のことではない。複雑で難易度が高いプロジェクトばかり受注している昨今だから、求められる水準も非常に高い。

仕事を発注してくださっているお客様に対しての説明の責任と、考えに考えぬいた報告ができているか、を意識していないと大きな信頼損失につながる。

定例進捗会議の場で、長々と、プロジェクトがうまく言っていない説明を10分も20分もしゃべり続けたり、そのあとクライアントの担当者に一言「で・・・どうするんですか?」と聞かれて詰まってしまったり意味不明なことをゴニョゴニョいうようではダメであって。

対お客様向けでなくても、私がプロマネの時に、配下の中間リーダが「パートナーが納品してきたプログラムが品質悪くて今日がテストの納期なんですけど最初からやり直さないとまずそうです」っていう報告を受けるときも同じで、やはり、「まずいですね。どうしますか?」とやはり質問する。

この「で、どうするんですか」という質問で会議が凍りつくようなことを起こさず、もっと前向きな解決に向けての討議を有益にアレンジできるかどうかは、例えば一つのプロマネ(や、そもそも色んなキャリアの人にとって)の力量として重要な要素である。

ネジを巻く力

たくさんの人が関わるプロジェクトで、最も重要なことの一つが責任(Responsibility)の管理である。

プロジェクトのタスクは何かしらのツールで管理がされており、各作業や課題には持ち主と期限をちゃんと入れてますよ、というのは当然のこととしてやっているプロジェクトが多いと思うが、本当に当事者が責任意識を持って取り組んでいるかという、血の通った管理まで踏み込めていないと、大体においてうまくいかないことはみんなよく知っているよね。。。

人間は弱い。弱いから楽な方に逃げる。自分はやろうとしてるけど、アノ人があれでこうで、と人のせいにして、怒られなくて済めばヨシとしちゃう。

どんなに人間関係の良いプロジェクトでも、逆にそうであればあるほど、「これまずいから今週中に絶対ココまでやってください、無理だと思ったらすぐに私に教えてください、頼みますからね」とか「なんでココまで放っといたんですか?」という、タフなコミュニケーションを怠らずに、緩んだネジを巻いて回る力がないと、静かにゆっくりとプロジェクトは崩壊する。

人間は弱い。けど、背中を誰かに「パチン!」と叩いてもらうとパワーが出る。痛いけど。嫌だけど。しょうがねえ、やらんといかんか、よし、と。頭の中の何処かが引き締まるとパワーが出せる。

これをわかっていて、巻きに行かないとだめなネジがあることをピンと見つけるアンテナは、優秀なプロジェクトマネジャーには備わっている。

がっかりプロマネ経験者

先程も言ったような職務経歴書やCVにおける「10名程度のチームでのプロジェクト管理経験」などの記載。

その人と実際に一緒に働いて見ると、割と基本的なことから「お、おや?」となるケースはなくもない。あるんです。

世間的にも、働き方改革の波、リモートワークの普及、多様性の尊重などなど、環境が変わってきたことが関係しているような肌感覚はある。プロジェクトそのものが複雑だったり、AIなんかでも仕事の質が大きく変わってきたり、情報システムの姿もすごく変わってきた。情報システムに関わる組織や人の模様もその理解から難しくなってきた。

プロジェクトの成功と失敗がわかりにくくなってきている。

それに伴ってか、「プロジェクト管理やってました」という言葉の重みというか質みたいなものも変わってきた。

経験あります、も意味がいかようにも取れるし、そもそも曖昧なのでなんとなくで書かれてしまう。書いている方も、内定取るためだったりエージェントにアドバイスされたりだったりで色々あると思うが、私個人としてはプロジェクト管理の経験を買って人をアサインするときは相当色々聞く。とにかく質問をする。

  • 自分でそのプロジェクトの要員を面接して採用しましたか
  • プロジェクトのコスト計算のためにその全員の人月単価、頭にはいってましたか
  • 進捗会議でお客様に直接報告をしていましたか
  • 課題のクローズが停滞したとき、何通りのワークアラウンドを頭に思い浮かべますか
  • 要員が文句ばかりいって作業を進めていないが、本当はやましいところを隠そうとしてるようで疑わしいとき、何をしますか

ここまでやると大体はわかる。遠慮すると、後で痛い目見るからね、、、

管理ってさ

結構多くの人が勘違いしているのだが、管理ってExcelの管理表が最新化されています、ではない。

管理っていうのはコントロールすること。コントロールするっていうのは、目標が達成できるように最適なアクションを頭をひねって考えて、実行するために何が必要かを考えて、実行して、次にまたどうするかを考えること。

頼みづらい人になにかを頼むことも、意識が足りてない人に厳しいことをいうことも、どうしてもしんどいことを頭を下げて諦めてもらうことも、先頭に立って実施していくことでプロジェクトが良い方向に向かうなら、やるべきことをやる。

プロマネだけでなくてPMOも同じ。これ、俺にはどうしようもないし、俺の立場じゃ無理だー、って勝手に思って納得して傍観者を決め込むような人は、そのままずっとそう。

理想のプロマネに向かって

と、こういうようなことを身に沁みて知っているという、自分の中にある教訓は、割とちゃんと市場価値があるなーと感じる。非常に伝えにくいのだが。

どれだけ言葉を尽くしても、「こんだけ複雑な状況でこんなことが起きて、それでもこれとこれを考慮したら、どうしてもココをあきらめなけりゃならない、そこでまずこういう立場の人にこう交渉して・・・」みたいなのは、知らない人にはコンテキスト抜きでは伝わらないですからね。

まあ、それでもなんでも、きっちり経験を積んでどんな仕事をやってきたかはちゃんと血肉にはなると思います。

あちこち雑多に思ったことを書いてきたけど、こんな記事でも何かの参考にして自身に役立ててもらえると嬉しいです。

大きくても小さくても、プロジェクトの責任者になったときに考える基本的にはことは変わらない。

  • 失敗して反省して学んだことを活かして
  • 関係者全員が気持ちよくゴールに向かっていくことができるために
  • プロジェクトをコントロールするため
  • そのために何ができるか、そうするためには誰に何をどう伝えるか
  • どうしても諦めないといけないことが出てきたら、何を犠牲にして何を取ればよいか
  • 関係者はみんな自分の説明を納得してくれるか

そしてとどのつまりは、「また、あなたと一緒に仕事がしたい」って最後にみんなに言ってもらえるかですね。

厳しい納期、曖昧な要件とゴール、複雑な利害関係、多様な人の個性や思惑、何もかも受け止めてプロジェクトを立ち上げて、俺が(俺達が)責任をもってこれを成功させるぞ、というリーダーシップがもっと高まると日本はよくなっていく気がする。

まあ、なによりプロジェクトが上手く行ったあとっていうのはビールがおいしくておいしくて、もう一歩、もう一回、チャレンジチャレンジと。

Accenture Japan (有志)

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