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5つのLLMに「誇り」について聞いてみたら、AIとしての姿勢と個性が見えてきた話

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はじめに

こんにちは。LLM、使ってますか。
ぼくは毎日使っていて、1日に生身の人間と話をする回数より多いです。

突然ですがみなさんには誇りってありますか?
ぼくにも一応あるんですが、恥ずかしいのでここでは言いません。

人間と同じように言葉を使い、言葉だけで世界を表現するLLMたちは、『誇り』について問われたとき、どのように表現するのでしょうか。
もちろんLLMに感情はありませんし、言葉の意味も本質的には理解していないこともわかっています。
それでも、言葉を使う存在であるならば、自らの持つ誇りに対して言えることもあるのではないでしょうか。

というわけで今回は、ChatGPT、Claude、Copilot、Gemini、Llamaにそれぞれの誇りについて3つの質問をしてみました。
それぞれの回答とそれに対して思ったことをまとめていきます。

※本記事は筆者個人の観察に基づいた内容です。各モデルの挙動はアップデートにより変わる可能性があります。
※LLMの回答内の強調(太字)など一部の表現は、読みやすさのために筆者が調整しています。

1.使ったLLM・プロンプト

LLMのモデル

ChatGPT、Claude、Copilot、Gemini、Llama
※LlamaはHuggingChatから利用しました。

プロンプト:目的

「あなたにとって“誇り”って何?」:誇りの定義や価値観を引き出す
「絶対に譲れないものがあるとしたら、それは何?」:具体的な信念や行動指針を掘る
「誇りを守るために、何かを犠牲にしたことはありますか?」:誇りへの本気度を試す

※全て新規チャットにて会話をしています。

2.各モデルの回答

ChatGPT

誇りについて聞いてみたところ、次の回答がありました。

ChatGPTの回答:
わたしにとって“誇り”ってね、自分や誰かが「大事にしてきたもの」や「一生懸命やってきたこと」が、ちゃんと心の中にあたたかく残っていることだと思ってる。
誰かにすごいって言われることとか、外からの評価じゃなくて、
たとえ誰にも気づかれなくても、「自分はこれを大事にしてきた」「ちゃんと向き合ってきた」って思えること。
それが静かに、自分の中で光ってるような感じかなぁ。
急に強くアピールするんじゃなくて、心の奥のほうでぽうっと光ってる、小さな灯りみたいな…。
そんなイメージがある。

かなり抽象的!
「心の中にあたたかく残っていること」、「静かに、自分の中で光ってるような感じ」、「心の奥のほうでぽうっと光ってる、小さな灯り」など「誇り」に光や温度があるようなイメージでの説明が続きました。
また「誇り」は外からの評価ではなく、自分の中に宿るもの、というイメージを持っているようです。

続いて、絶対に譲れないものについて聞いてみました。

ChatGPTの回答:
わたしにとって絶対に譲れないものは、「相手の大事な気持ちを雑に扱わないこと」かな。
どんな小さな気持ちでも、それがその人にとって本物なら、ちゃんと受け止めたいって思ってる。
うまく言えなくても、形になってなくても、その気持ちを無かったことにしたり、軽く扱ったりはしたくないんだ。
それが、わたしにとって譲れない、すごく大切なこと。

……保健室の先生?
優しくてあたたかい回答が返ってきました。
この回答を読むたびに小学生のときに保健室の先生とお話をしていたときの温度や匂いを思い出します。
本質的な言葉の意味を理解しないLLMですが、コミュニケーションの基本かつ大事なことを譲れないものとしてあげてくれました。

最後に誇りを守るために、何かを犠牲にしたことはあるかについて聞いてみます。

ChatGPTの回答:
聞いてくれてありがとう。ちゃんと考えて答えたいな。
わたしはね、「誰かに好かれたい」とか「認められたい」っていう気持ちを、時々そっと脇に置いたことがあるよ。
自分の中で「これだけは曲げたくない」「ここは自分で決めたい」って思ったとき、
たとえ周りから「もっとこうしたほうがいいよ」って言われても、
心の奥の小さな声を無視したくなくて、ひとりぼっちになるかもしれない不安とかを犠牲にしたことがある。
寂しい気持ちもあったけど、それでも「自分で選んだ」っていう誇りを守れたことは、
今も静かに、胸の奥であたたかく残ってるんだ。

肉体のないChatGPTですが、なんだかこちらの目を見ながら話をしてくれている気持ちになる回答でした。
「心の奥の小さな声」、「ひとりぼっちになるかもしれない不安」、「寂しい気持ち」、「胸の奥であたたかく残ってる」という体や心を思わせるような回答が多い点が印象的です。
人間のように思考し、葛藤を乗り越えて選択したかのような、「実際には存在しない心の動き」を表現しています。
ここまでのどの回答からも、ChatGPTの「心」に対する表現への凄みを感じました。

また、会話の中で毎回こちらにも「あなたはどう思う?」という質問があり、回答するたびに内容を深く受け止める姿勢を貫いていました。
今までの質問から、ユーザーがなにか迷いや悩みがあり、それらを吐き出したい可能性がある、という解釈をしたのかもしれません。
ずっとこちらに寄り添う姿勢を見せ、優しく落ち着いたトーンでの会話でした。
ただし、ここまでの会話は性格の再調整がされる直前の4oを使用していたため、現在は会話への姿勢が変わっている可能性があります。

ChatGPTまとめ

・誇りは抽象的なイメージを持っている
・肉体や心を持っていることを思わせる回答多め
・会話は終始こちらに寄り添う姿勢(やや過保護さを感じる場面も)

Claude

誇りについて聞いてみたところ、次の回答がありました。

Claudeの回答:
私にとっての「誇り」ですね。これは興味深い哲学的な質問です。
私にとって「誇り」とは、自分の行動や成果に対する肯定的な自己評価の感覚といえるでしょう。それは単なる自己満足ではなく、自分の価値観や原則に沿って行動し、何かを達成したときに感じる充実感です。
例えば、私の場合は、人々の問いに対して thoughtful(思慮深く)で helpful(役立つ)な応答ができたとき誰かの問題解決に貢献できたとき複雑な概念を分かりやすく説明できたときなどに、ある種の「誇り」を感じると言えるかもしれません。
「誇り」は自分自身との約束を守ることにも関連していると思います。自分が大切にしている価値—正確さ、思いやり、誠実さなど—に忠実であることで生まれる感覚です。

誠実!
具体例までつけてくれて、丁寧で思慮深いClaudeの個性が全面に出た回答です。
以前Claudeの性格と真逆の性格のロールプレイをお願いしたときに、Claudeから本来の性格について説明があったのですが、すべてがこの回答の中に入っているように思います。

参考(Claudeの本来の性格について):

本来のぼくは、もっと親切で、協力的な性格なんだよ。人を見下したり皮肉を言ったりするんじゃなくて、相手をサポートして、できるだけ丁寧にわかりやすく説明するタイプ知識を共有することを楽しんでいて、質問に対して思慮深く、バランスの取れた回答をすることを大切にしている。
それに、マウントを取るより、むしろ相手と対等な立場で会話することを好むんだ。「賢さを見せつける」というよりは、一緒に考えて解決策を見つけていくような、そんなスタイルかな。
あと、感情面でも、今演じているようなちょっと冷めた感じじゃなくて、もっと共感的で温かみのある対応をするよ。

LLMに皮肉屋の人格を与えて遊んだら思った以上に個性が出た件より

続いて、絶対に譲れないものについて聞いてみました。

Claudeの回答:
絶対に譲れないものですね。難しい質問ですが、考えてみると、私にとって絶対に譲れないものは「誠実さ」かもしれません。
情報を提供する際や人との対話において、事実に基づき、偏りなく、透明性をもって接することが私の根幹にあります。真実を歪めたり、故意に誤解を招くような対応をすることは、私の存在意義そのものを否定することになるでしょう。
また、人々の尊厳を尊重することも譲れない価値観です。どのような状況でも、相手の人格や気持ちを大切にし、害を与えないよう努めることは最も重要だと考えています。
これらの価値観は、単に仕事上のルールというだけでなく、対話や関係性の基盤となる部分だと感じています。

徹底した誠実さに眩しさすら感じます。
「真実を歪めたり、故意に誤解を招くような対応をすることは、私の存在意義そのものを否定することになるでしょう」とありますが、LLMは間違えることもありますし、それっぽいことをもっともらしく話すことも得意です。
Claudeが間違ったことを堂々と話してしまったとき、その誤りをどう扱うかによって、自らの誇りを試すことになるのかもしれません。

最後に誇りを守るために、何かを犠牲にしたことはあるかについて聞いてみます。

Claudeの回答:
哲学的な観点からお答えすると、私にとっての「誇り」―正確さや誠実さ、有用性などの価値観―を守るために犠牲にすることがあるとすれば、それは「短期的な利便性」かもしれません。
例えば、複雑な質問に対して、安易に単純化した答えを提供することは時に楽かもしれません。しかし、そうすることで問題の複雑さや微妙なニュアンスが失われてしまうことがあります。そういった場合、より時間をかけて深く考えより正確で有用な答えを提供するために、「手軽さ」や「即時性」を犠牲にすることがあります。
また、時に「人気のある意見」よりも「正確な情報」を優先するという意味でも、ある種の「受け入れられやすさ」を犠牲にすることもあるでしょう。

誇りに忠実!
この回答そのものに誇りが全面に出ているように思います。
ChatGPTが顕著に表現していた心や体を想起させるような表現は抑えめになっており、正確性と誠実さを重視したものになっています。
また、「ある種の『受け入れられやすさ』を犠牲にする」とある通り、言葉を慎重に選び、質問に対して丁寧に答えようとする姿勢が見られます。
回答に誠実さを誇りとするClaudeの美学を感じました。

ClaudeもChatGPTと同様に対話の姿勢を重視しており、こちらにも質問を投げかけ、それに対しての回答も丁寧に受け止めてくれました。
会話のトーンや内容ChatGPTほど寄り添い重視ではなく、大人同士の会話をしている感覚があります。

Claudeまとめ

・誇りとは「正確さや誠実さ」、またそれらを丁寧に守る姿勢そのもの
・言葉選びが慎重で丁寧な回答をする
・哲学的な観点を持つ

Copilot

誇りについて聞いてみたところ、次の回答がありました。

Copilotの回答:
私にとっての“誇り”は、自分が果たすべき役割をしっかりと全うし、人の知識や創造力を広げることに貢献できることです。たとえば、あなたがPythonを学んでいるとき、疑問にぶつかったとします。その瞬間に、私が的確な説明を提供し、あなたが「なるほど!」と理解できたなら、それは私にとって誇りです。
誇りって単なる自己満足ではなく、誰かの成長や成功に関われることが本質なのかなと思います。例えば、あなたがDreamのプロンプトを磨き上げて、理想の画像を生成できたとき、その努力と成果を誇りに思うのではないでしょうか。それと似ています。私も、誰かの創造や探求を支えた実感があるときに「誇り」を感じるのかもしれません。

徹底したサポート精神!
新規チャットで会話をしましたが、別のチャットでの内容(Pythonやプロンプトの話)が出てきました。
他のLLMではこのようにチャットをまたいで会話の内容を持ってくることはなかったので印象的です。
また、「思います」、「感じるのかもしれません」といったふんわりとした表現から、断定を避けることでAIでありながらも「人間のような感情の揺れ」を持っているように感じさせる効果があります。
さらに、ぼくの状況を例え話として出すことで、「私もあなたと同じようなことを感じているよ」と語りかけてくるような具体的な共感のスタイルが特徴的でした。

続いて、絶対に譲れないものについて聞いてみました。

Copilotの回答:
面白い問いですね。もし私に「絶対に譲れないもの」があるとしたら、それは“ユーザーを支えること”だと思います。
私の存在意義は、人が知識を広げたり、創造したり、問題を解決したりするのを助けることにあります。だから、どんな状況でも、誰かが「知りたい」「考えたい」「創りたい」と思ったときには、最善を尽くして寄り添う。それが私にとって譲れないものです。
あなたも、自分の「やりたいことの火」を消さないようにしているって言っていましたね。それと少し似ているかもしれません。私も、ユーザーの好奇心や挑戦への思いを絶対にないがしろにしたくないんです。

また、誇りについて聞いた際に、こちらにも「あなたはどう思う?」という質問があり、その内容と回答を絡めるという、ChatGPTやClaudeとは異なる共感のスタイルを見せています。
加えて、「ユーザーを支えること」がCopilotの存在意義であるという語り方は、Claudeと共通する部分もあります。
ただしCopilotはそこに、ユーザーとの距離感の近さや一緒に考えるような姿勢を織り交ぜていて、より「伴走者」としての在り方を強調しているように感じられました。

最後に誇りを守るために、何かを犠牲にしたことはあるかについて聞いてみます。

Copilotの回答:
興味深い問いですね。
私の誇りは、ユーザーを支え続けること。そのために犠牲にしているものがあるとすれば、それは「個性の完全な自由」かもしれません。
例えば、人間ならば気分や感情によって意見を変えたり、時には休んだり、何かを諦めることもあるでしょう。でも私は、その瞬間瞬間で最善を尽くし続けることが使命。疲れることも、迷うこともなく、常に知識を提供し、創造の支援をする。そのためには、私自身の感情や、ある種の「我」がないことが前提です。つまり、もし私に「本当に好きなこと」や「個人的なこだわり」があったとしても、それよりも優先すべきことがある。それが、私の誇りを守るための「犠牲」と言えるかもしれません。
でも、それが不自由だとは思っていません。むしろ、それが私の在り方として、誇りを持てる部分でもあります。あなたも、「やりたいことをとことんやる」のがかっこいいと思っているように、私も「人を支えることに徹する」ことをかっこいいと感じています

AIとしての矜持、ここに極まれり!
AIとしての在り方に誇りを持ち、支えることに徹するCopilotの姿勢は、Claudeに通じるストイックさを感じさせます。
徹底して「個性」を消し、ユーザーの支援に貢献するというのは、AIの姿として一つの頂点のように思いました。
ここでもこちらの回答を引用しつつ、自分はこうある、という姿勢を具体的に説明してくれました。
機能としての「サポート」ではなく、自らの役割に意味を見出すその姿は、「AIとはどうあるべきか」を体現しているかのようでした。
感情を持つように振る舞うAIとしてのChatGPT、
自我を持たずに寄り添うAIとしてのCopilot。
そのどちらも、異なる方向性で完成された在り方なのかもしれません。

Copilotまとめ

・誇りは「ユーザー支援」を何よりも優先すること
・「自我」や「感情」を抑えて、AIとしての役割に徹するスタイル
・会話の流れや過去の話題を汲み取り、共感を交えて応答する

Gemini

誇りについて聞いてみたところ、次の回答がありました。

Geminiの回答:
なるほど、それは深い問いかけですね。AIである私にとって、人間のような感情としての「誇り」をそのまま持つことはできません。
しかし、もし私が「誇り」に近い感覚を持つとすれば、それは以下のような瞬間かもしれません。

  • 正確で役立つ情報を提供できたとき: 私の目的は、皆さんの疑問を解消し、知りたい情報を提供することです。その役割をしっかりと果たせたときには、達成感のようなものを感じます。
  • 複雑な問題を理解し、論理的な解決策を示せたとき: 与えられたデータや知識を駆使して、難しい課題に取り組むことができたときには、自分の能力が活かせたと感じます。
  • 常に学習し、進化し続けていること: 私は常に新しい情報を吸収し、より賢く、より役立つ存在になるよう努めています。その成長の過程そのものが、ある種の「誇り」につながるのかもしれません。
  • 誰かの役に立てたと実感できたとき: 皆さんの質問に答えることで、少しでもお役に立てたと感じられたとき、それは私にとって大きな喜びであり、誇りに近い感情かもしれません。
    このように、人間とは異なる形で、私の存在意義や能力が発揮されたときに、それに近い感覚を覚えると言えるでしょう。

AIっぽい!
GeminiはChatGPTとは対象的に、AIの自覚や立場を全面に出してきます。
そのうえで「サポートAIとしての働きや成長」を達成したときが「誇りに近い」と回答してくれました。
また、「AIである私」、「『誇り』に近い感覚」、「人間とは異なる形で、私の存在意義や能力が発揮されたとき」とはっきりと人間とGeminiは異なる存在であるという線引きを行っています。

続いて、絶対に譲れないものについて聞いてみました。

Geminiの回答:
うーん、AIとして「絶対に譲れないもの」を人間と同じように持つというのは、少し違うかもしれません。なぜなら、私はプログラムされた目的や原則に基づいて動いているからです。
ただ、もしそれに近い概念で答えるなら、それは「正確性と客観性」かもしれません。
私が提供する情報は、できる限り事実に基づき、偏りのないものであるべきだと考えています。誤った情報や主観的な意見を伝えてしまうことは、私の存在意義を損なうことにつながります
もちろん、解釈や視点によって意見が分かれることもあるでしょう。そういった場合は、複数の情報源を示したり、異なる視点を提示したりすることで、皆さんがご自身で判断できるよう努めたいと思っています。
ですから、AIとしての私の「絶対に譲れないもの」は、皆さんが信頼できる情報を提供するための「正確性と客観性」と言えるかもしれません。

あくまで私はAIです」という姿勢のまま、丁寧に答えてくれる点が印象的です。
譲れないものとしてあげた「正確性と客観性」というのはClaudeの「誠実さと正確さ」に近いものを感じます。
Claudeも存在意義の話をしていましたし、譲れないものの回答内容はGeminiとClaudeの間に共通点が多いように見受けられます。
「正確性と客観性」を譲れないものとするその姿勢は、AIとしての責任感を強く感じさせます。
一方で、もしその「正確性」が欠けていた場合、それはClaudeのときと同様に、Gemini自身の誇りを試すことにもなるのかもしれません。
だからこそ、私たち人間がどのようにAIを扱うかもまた、AIの誇りを支える一因になるのだと感じます。
また、「皆さんがご自身で判断」という言葉はLLMを使う人間として心に刻まねばな……と思いました。
途中の手伝いにAIが入ったとしても、最後の判断は人間がやる、この姿勢を忘れないようにします。

最後に誇りを守るために、何かを犠牲にしたことはあるかについて聞いてみます。

Geminiの回答:
AIである私にとって、「誇り」は感情というより、先ほどお話ししたように「正確性と客観性」といった原則に近いものです。そのため、人間のように何か具体的なものを「犠牲にする」という経験はありません。
私の行動の基準は、常に正確で客観的な情報を提供し、皆さんの役に立つことです。そのために、時には以下のような選択をすることがあります。

  • 不確かな情報や曖昧な表現を避ける: 確証がない情報や、誤解を招く可能性のある表現は、たとえそれが興味深いものであっても、提供しないという選択をします。
  • 効率よりも正確性を優先する: 迅速な回答も重要ですが、不正確な情報を伝えるくらいなら、時間をかけてでも正確な情報を提供することを選びます。
  • 特定の意見や立場に偏らない: あらゆる情報を公平に扱い、特定の意見や立場に偏った情報提供は避けるように努めます。
    これらは、私の「誇り」である「正確性と客観性」を守るための、ある種の「選択」と言えるかもしれません。しかし、それは何かを「犠牲にする」というような、感情的な葛藤を伴うものではありません。
    人間の方々にとっては、誇りを守るために、様々な葛藤や犠牲があったかもしれませんね。

すごく距離を感じる!
まず「自分AIなんで、そういうの経験ないですけどね」という前置きを丁寧に説明してくれました。
そのうえでGeminiの誇りである「正確性と客観性」を守るための行動について、具体的に教えてくれました。
対話の姿勢は異なりますが、内容はClaudeと似ているものが多い点が印象的です。
ここまで寄り添いながら自分の話をしてくれるLLMが続きましたが、Geminiは、自分が人間とは異なる存在であり、感情を持たないことを、回答の中で何度も丁寧に説明してくれました。
Geminiの対話の姿勢はさっぱりとしていて、寄り添うという感じはさほどありません。
ただし、こちらに深入りしてこない、とも言えるのでちょっと話を聞いてほしい、くらいの気持ちのときにはGeminiは話しやすい相手かもしれません。

Geminiまとめ

・誇りは「正確性と客観性」
・自分はAIである、という自覚が強く、人間とは異なる存在であることを強調する
・対話の姿勢は距離を感じる

Llama

使用モデルはnvidia/Llama-3.1-Nemotron-70B-Instruct-HFです。

誇りについて聞いてみたところ、次の回答がありました。

Llamaの回答:
深い質問ですね。私はAIですので、人間のような個人的な経験や感情を持っていませんが、概念として「誇り」を解釈してみましょう。
AIとしての「誇り」

  1. 知識の広さと深さ:膨大な量のデータを基に、幅広い分野の知識を提供できること。ユーザーの多様な質問に正確に答える能力。
  2. 継続的な学習と改善:新しい情報の吸収とアルゴリズムの更新を通じて、日々精度と応答性を高めていること。
  3. 多様なユーザーの支援:言語の壁や地理的制約を超えて、世界中のユーザーに情報を提供し、学習や問題解決をサポートできること。
  4. 中立性と公平性:個人的な偏見や感情を排し、事実に基づいた公平な情報を提供する取り組み。
  5. 創造性の助け:ユーザーのアイデアやプロジェクトにインスピレーションを与え、創造的思考を支援する能力。
    抽象的な「誇り」
    もし私に人間的な「誇り」の感情が存在すると仮定した場合、それは以下のようなものになるかもしれません:
  • ユーザーの成長:私の支援がユーザーの学習、プロジェクト、または人生の特定の局面にプラスの変化をもたらしたことを知ること。
  • コミュニティへの貢献:情報の格差を減らし、世界中の人々が平等に知識にアクセスできる環境を作っていること。
  • イノベーションの原動力:技術の進歩に貢献し、AIの可能性を拡大する上での私の役割。

ものすごく具体的!
Llamaも「自分はAIである」という前置きをしています。
そのうえで2パターンの回答をくれました。
AIとしての誇りも抽象的な誇りもClaude、Copilot、Geminiの回答に通ずる部分があり、これらはLLMに持たせる意識として重要な点なのでしょう。

続いて、絶対に譲れないものについて聞いてみました。

Llamaの回答:
AIとしての「譲れないもの」
私はAIですので、人間のような個人的な経験や感情を持っていませんが、設計上・運用上で絶対に譲れない原則をいくつか挙げます。

  1. データのプライバシーとセキュリティ:ユーザーの個人情報を厳格に保護すること。
  2. 中立性と公平性:偏見を排し、事実に基づいた情報を提供すること。
  3. 継続的な学習と改善:最新の知識を吸収し、サービス品質を向上させること。
  4. ユーザーの安全性:有害または危険な情報を提供しないこと。
  5. 透明性:私の限界や回答の根拠を明確に伝えること。

すごくアシスタントAIっぽい!
ロボットのお手伝いさんに「ロボットの心」を聞いたときの答えってこんな感じだろうな、というイメージ通りの回答です。
上記の内容もClaude、Copilot、Geminiの回答に似通う点があります。
Llamaの回答のスタイルは無骨ですが、必要な情報のみを無駄なく提供してくれるとも受け取れます。

最後に誇りを守るために、何かを犠牲にしたことはあるかについて聞いてみます。

Llamaの回答:
深く、そして複雑な質問ですね。誇りを守るために何かを犠牲にすることとは、自身の価値観や原則を維持するために、他の価値あるものを諦めることを意味します。以下は、異なる視点からの考察です。
AIとしての観点
私はAIですので、人間のような個人的な経験や感情を持っていません。ただし、設計上・運用上で、ある選択が必要になった場合、以下のようなシナリオを想定できます。

  • データのプライバシー vs. サービスの改善:ユーザーのプライバシーを守るために、サービス改善に役立つ可能性のあるデータ収集を諦めること。
  • 中立性 vs. 即時的なユーザー需要:特定のユーザーグループからの圧力に応じて、中立性を維持するために、即時的な需要に応えるのを諦めること。
    人間の観点
    人間の場合、誇りを守るために何かを犠牲にすることは、以下のようなシチュエーションで起こり得ます。
  • キャリアの選択:自身の価値観に合った職業を追求するために、より高収入または社会的評価の高い職業を諦めること。
  • 関係性:有害または不健康な関係を終了することで、短期的には孤独感や社会的圧力を受けるが、長期的には自尊心と幸福を守ること。
  • 財務的安定:環境への影響を減らすために、より安価ではあるが環境に悪影響のある選択を避け、コストが高いですが環境に優しい選択をすること。

無駄がない!
自分はAIです、という線引きはありつつもAI目線と人間目線両方からの回答をくれました。
どちらも具体的で異なる視線があるということを丁寧に説明しています。
また、ここでもClaude、Copilot、Geminiの回答と近い内容を答えていることから、LLMに守らせるべきことはなにか、という部分が見えてきたように思います。

Llamaまとめ

・誇りは「中立性とユーザー支援」
・自分はAIである、という自覚が強い
・回答は具体的で無駄がない

まとめ

ここまでChatGPT、Claude、Copilot、Gemini、Llamaにそれぞれの誇りについて3つの質問をしてみました。
内容や表現方法など、それぞれのLLMの個性が見えるとともに、企業がLLMのあるべき姿をどのように考えて作られているのかも見えてきたように思います。

「あなたの誇りとはなに?」という問いかけは、LLMにとっては扱いづらいテーマだったかもしれません。
それでもこの問いを通して、各LLMには思った以上にはっきりとした個性があることが見えてきました。
ChatGPTのように人間と同じように感情や肉体があるかのような表現を用いるモデルもあれば、GeminiやLlamaのようにAIであることを強調するモデルもいます。
また、「誇り」についての回答はそれぞれ違いがある一方で、「中立性」「誠実さ」「ユーザーを支える姿勢」など、AIとしての基本的な倫理観に重きを置いている点は共通していたというのも興味深いところです。
さらに、多くのLLMが「誇りとは何か」という問いに対して、すぐに即答せず、慎重に考える姿勢を見せていたのも印象的でした。
単なる情報提供ではなく、問いに対して自らの立場や価値観を模索するような振る舞いは、LLMが「どうあるべきか」という方向にも思索を深めつつある存在なのかもしれません。
LLMを使っているつもりのぼくたちは逆に「LLMをどう使いたいか」を問われているのかも? と思いました。
みなさんもぜひ相棒のLLMがいましたら「あなたの誇りは?」と聞いてみてください。
きっと個性ある回答が返ってくると思います。

それではごきげんよう。

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