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24時間ジム業界のDXに真剣だった

2023/01/11に公開

パートナーの取締役及び役職者の方々とお話する機会をいただき、AIやDXという得体の知れない概念に対する解像度が少しずつ高まっていることを実感した。

過激に煽られた結果か、リスク(*事前に予測可能で、計測可能な危険性)を分散させながら、複数の開発会社とPoCを行っていた。

そして、悉く失敗して「我々の抱える課題を現代の技術で解決することは難しいのだ。」と結論付けようとしていた時に、PoCを成功させた我が社が登場したという経緯だった。

他社が、何を問題に捉え、どのような技術を、どのように使い解決を試みたのかは明かされることはなかったが、我が社は公表されている学習済みのモデルを用いて実装しただけなので、他社は単純に設計力が乏しいだろうと推察される。

本案件で言えば、画像解析が議題になっていたわけだが、突破できたのには理由があった。

1つ目は、ビデオデッキからデスクトップへのHTMLケーブルを二股にして、スクリーンをキャプチャーすることで画像を取得・転送システムを完成させたこと。これにより、防犯カメラのシステムを開発している会社にAPI連携を申請するコストを削減した。

2つ目は、所与の解像度や画角から、1回当たりの予測精度は低い問題を試行回数を増やすことで解決したこと。具体的には、5分に1度、5秒置きに12枚の画像を取得して、12分の1の確率で精度80%以上を実現することである。(*最大検知数の画像を用いる)

恐らく、2つ目の手法を発見できずに躓いたと想定されるが、結果を出せなかったのではないかと思われる。元から正確に検出しても、会員以外のカウントを正確に排除できないことから、100%の精度出なくても問題ないという背景があるが。

課題解決に対する執念深さ

元も子もないことを言ってしまえば、課題解決に対する執念深さと表現してしまいたいが、再現性を持った観点では「目的を再定義するチカラの欠落」と言える。

初めから目的を設定することが難しいPoCでは、当初の目的を再定義する必要性に迫られることがある。本事例で言えば、一律的な予測精度向上が難しいことに着目して、好条件下で予測精度が高いパターンを抽出する方向性にシフトしたことである。

結果的に、コンペに勝った形になるのので、画像解析の手法に止まらない勝因を推測しておく。

場の複合的な問いに明確に答えた

「明日からどう変わるのか。」

彼らは、使い方も分からない、使えるかどうかも分からない魔法の杖の価値を見定めるために会議に参加しているわけではない。

孫正義さんが仰っていたように、事業は日常を作るものであり、当然顧客のひとりである彼らも、彼らの日常に対する変化が知りたいのだ。

(ちなみに、赤西仁は歌は言葉を作るものだと言っていた。)

となると、必然的に解像度が高い日常の話から始まるのが求められる。が、技術に軸足を置いていると、ステークホルダーの日常から始まらず、想像が付きにくいアーキテクチャの説明から入ったり、如何に自社の技術が素晴らしいかを語ってしまう。顧客の解像度が低い開発会社の存在意義を高めるのは技術価値の高さであるが故のものだが。

「Aの問題の優先度が高い。」

大手と交渉する場合、1:1になることはまずない。必ずと言って良い程に、複数人が参加する。参加者ひとりひとりに追っているKPIがあり、問題意識を抱えている。

この状況に対する当然の対策として、彼らの業務を俯瞰した視点で戦略を策定し、優先度を決めてしまうことである。そうすることで、各者の問題意識に対する答えを用意できる。

ここで「Bに注力します」ではなく「Bに注力して、あとでA、Cと解決に取り組みます」と伝えるだけで、印象が全く異なり、AとCの問題意識を強く持っていた参加者や参加していない当事者からのハレーションリスクが下がるので、おすすめ。

まとめると、パートナーの経営状況や提供するプロダクトにも依るが、多くは売上・利益から逆算して話を紐解いていくだけで話はすっと通る。まずは、売上の計算式を用意して、優先度を設けることから始めることをお勧めする。

(我が社では、パートナーサイドの担当者が資料の添削を行なってくれたお陰で、俯瞰した視点に立てた。)

「我々の領土(事業)で何をしたいのか明確に教えて欲しい。」

技術だけでなく、実は現場にも詳しくない経営層の彼らは、そもそも問題を正確に捉えられていないことがある。ここはとてもシンプルで、何のために、何をするのかを明瞭に伝えること。

どのような技術を使うかとか、細かい話はどうでも良く、正に役員会で話されるような経営の最上流でコンセンサスを図る必要がある。最上流でのコンセンサスを経てから、論点が下流へと降っていくわけだ。

「何を目指しているのか」

課題はOK。手段もOK。人柄もOK。となると、次は夢や志と呼ばれる類のものだ。

ある種、金儲けだけでないことの証明を求められるものである。

最初の疑問かもしれないし、最後の疑問かもしれないが、今回は私の前のプレゼンターであった実験パートナーがWhyを語り尽くしたので、私も続いてWhyから入った。(締めにもWhyを入れた)

まとめると、現場と技術の通訳者として役員会に出席している気概で臨み、彼らの日常から話を始めなければならないということである。

そのような姿勢になると、自然とWhole Product(何でも対応できるソフトウェア)を完成するロードマップを描き、実行していくインセンティブが自社にかかるものである。

いまや日本中のPMが敬愛する矢本さんの言葉を引用すると、先日の初めのミーティングで伝えた「夢、基盤、UX」のすべてを「ほしい」と言われた瞬間であったのかもしれない。

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Localize vs Globalize

これは、今回のパートナー特有の事情になるのだが、あくまで、USを母艦としたJPNにおけるマスターフランチャイジーの立ち位置である以上、どのようなレギュレーション(規制)がいつ発生するのかが不明瞭になってくる。

海外支社がグローバルスタンダードに抗う理由はなく、あるとすれば、費用対効果の高さを免罪符にローカライズを許諾されること。ここにしか突破口はない。

幸いにも、グローバル展開されている会員向けアプリのローカライズは、初手の和訳から躓いており、何も始まっていないことから、少なくとも1年間のタイムラグが生まれる。その僅かな隙間を縫い、580万人の会員に対するプラットフォームを占有したいところだ。

依然としてリスクは大きいが、大きな事業機会を獲得できるチャンスに巡り会えたことだけは間違いない。ここからは、確実にスピード勝負になってくる。リソースを拡充したいところだ。

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